【子育て】母性神話の正体 {依頼}

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1わき毛マン緊急出動!!!!(121204)φ ★
先週の記事では、生後半年から約2年間で形成される養育者との愛着が子供の発達に影響を与える愛着障害
(アタッチメント障害)について触れましたが、書物によると多くの場合、最も影響力のある養育者は母親だと書かれています。
実際、多くの子供にとって母親と過ごす時間が一番長いでしょうし、母乳が出るのは母親だけですから、そう言われる理由も
分かります。

一方で、「母性」という言葉が母親となった女性を縛って来たのも事実です。
母性とは、「母親になると湧いてくる、育児をすることが喜びに感じる感情」のように定義され、育児に対する自己犠牲を
「母性」という言葉で正当化されてきました。一般社会では、育児の中で父親よりも母親に求められることの方が多いです。

「母性」を語る時に、オキシトシンとプロラクチンというホルモンが説明に使われます。

オキシトシンは愛情・愛着に関係するホルモンで、脳内で神経伝達物質として働くほか、体内では子宮を収縮させたり母乳を
外に出させたりする働きがあります。陣痛発来時や出産直後、赤ちゃんに乳首を吸われている時のほか、スキンシップや
セックスでも分泌されます。

プロラクチンは乳汁合成・分泌に関わるホルモンで、妊娠中から分泌され、産後は赤ちゃんに乳首を吸われると分泌されます。

オキシトシン、プロラクチンとも、男性でも分泌がみられますが、女性よりも分泌量が少ないです。これらのホルモンが
産後に分泌されることで、昼夜を問わず育児に従事しても苦痛を感じないと言われ、母性の「正体」のように説明されています。

オキシトシンと愛着障害の関係についてはいろいろと研究が進んでおり、かなり興味深いです。しかし、数種類のホルモンで
親子関係を語り尽くすのは無理です。オキシトシンに限らず、ホルモンや神経伝達物質で人間の行動や人間関係を
説明付けようという風潮がメディアには以前からありますが、そんなに人間は簡単な動物ではないし、危険だと思います。

実際、私も子育てを経験してみて、思ったほど辛くないと感じています。月に10回以上の当直勤務に慣れているせいもあると
思いますが、夜に起きるのも、泣き声も、想像したほど苦痛ではないし、娘の世話が楽しいと思うこともしばしばです。
生後しばらくしておっぱいをあげている時に、愛おしいという気持ちがじゅわーっと湧いてきて、これがオキシトシンの働きか
と実感したものでした。長い付き合いの夫にもキャラが変わったとびっくりされています。

しかし、思ったよりも辛くないというだけで、当然のことながら苦痛に感じたり、イライラしたりすることもあります。自分が
娘をかわいいと思って自主的に世話をするのはいいけれど、第三者から「母親なのだから○○するべき」「母性があれば
辛くないはず」などと言われてもプラスにはならないと思います。おそらく多くの母親がそうなのではないでしょうか
(私の家族は、そういうことは一切言いません)。

経済や雇用の先が見えず、核家族化が進み、シングルマザー(シングルファザーもですが)が珍しくない現代日本で、体と心に
余裕をもって育児が出来る母親がどれだけいるでしょうか。「母性」という神話で母親を縛ることは、過酷な環境で育児を
している母親と子どもを苦しめることになります。

理想論が弱者を置いてけぼりにするのは世の常です。大変で子どもを可愛いと思う余裕がない母親を「私は母性がないのだろうか」
と悩ませることは何の意味もありません。母親に全ての責任を追わせるための根性論になってはならないと思います。

私個人の経験では、母性とは、ホルモンによるところと経験によって培われるところが半分ずつ、と言ったところでしょうか。
母性があるから苦しいことにも耐えられる、という部分も実際ないわけではありませんが、余裕があるから母性が湧いてくる
というのも真実です。無い袖は振れないのは誰でも一緒です。
母親自身も周りの人たちも、母性神話に振り回されないようにしたいものです。

引用元:ヨミドクター(読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=68706
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ジェンダーフリーは間違いですよ