フィアット クライスラー ジャパンが15日、日本市場導入を発表した2台のニューモデルの中から、魅力的な
クライスラー・イプシロンを紹介しよう。
実はこれ、イタリアの名門ランチアが2011年に発表した3代目イプシロンの "バッジ違い" なのだ。
フィアット クライスラー ジャパンは現在、日本におけるランチア・ブランドの販売展開は行っていないため
イギリスなどと同様にこのイプシロンはクライスラーから販売されることになった。それでも、1994年に登場し
100色ものボディカラーが用意されたことで話題を呼んだ初代や、2002年にモデルチェンジして今度は
2トーンカラーが人気を集めた2代目が、これまで日本では並行輸入という形でしか手に入らなかったことを思えば
3代目が全国の正規販売店で買えるようになったことを歓迎すべきだろう。
2011年のジュネーブ・モーターショーで発表された3代目は、これまで同様フィアット車のプラットフォームを
共有しつつ、ランチアに相応しい高級でエレガントな内外装を与えられたコンパクトカーという性格は変わらない。
ただし、初代と2代目がフィアット・プントのシャシを短縮して使用していたことに対し、この3代目はより小型の
フィアット 500をベースに、逆にホイールベースを90mm延長して5ドアに仕立てている。
500の乗車定員は4名だが、イプシロンは5人乗車。
全長3835mm × 全幅1675mm × 全高1520mmというサイズは先代よりも55mm長くなった。しかし全幅が45mmも小さくなり
日本では5ナンバーサイズに収まった。車両重量は1090kg。フロントグリルはクライスラー・ファミリーであることを
表す水平基調のブレードで構成されたデザイン。ランチアから販売されるモデルもほぼ同じ形状で、上部中央の
エンブレムのみ異なる。
エンジンは「ツインエア」と呼ばれる排気量875ccの直列2気筒インタークーラー付きターボ。最高出力85ps/5500rpmと
最大トルク14.8kgm/1900rpmを発生する。「フィアット 500 TwinAir」と共通だ。「エンジン・オブ・ザ・イヤー 2011」を
受賞した、FPT(フィアット・パワートレイン・テクノロジーズ)社自慢のダウンサイズ・ユニットである。
マニエッティ・マレリと共同開発したという5速シーケンシャル自動変速機能付きマニュアル・トランスミッション
「デュアル・ファンクション・システム」を介して前輪を駆動。ちなみにこのトランスミッションはランチアでは
「DFN」と名付けられている。イタリア語の "Dolce Far Nienta" の略で、日本語に訳すと「何もしない甘さ」。
何もしない=クラッチ・ペダルを踏んだりシフト・レバーを動かしたりしなくても得られる、甘い安楽な自動変速システム
ということらしい。START&STOPシステム(アイドリング停止機能)やグッドイヤー製低転がり抵抗タイヤ
「エフィシエント・グリップ」などが組み合わされることによって、JC08モード燃費19.3km/リッターを達成。
価格は、レザーシートや195/45R16タイヤ、バイキセノン・ヘッドライトを標準装備する上級グレードの「プラチナ」が260万円。
シートが「ラグジュアリー CASTIGLIO ファブリックシート」となり185/55R15タイヤを履きヘッドライトもハロゲンとなる
「ゴールド」は235万円(いずれも消費税込み)。なんとフィアット 500 TwinAirのベーシック・グレード「Pop」より15万円
高いだけ(上級グレード同士で比較すると、「イプシロン プラチナ」は「フィアット 500 TwinAir Lounge」より10万円高いだけ)
という意欲的な価格設定だ。全車右ハンドルのみの設定。発売はクライスラー 300と同じく12月15日から。
我が国における2012年10月度の輸入車新規登録台数を見ると、クライスラーはわずか31台と、フェラーリよりも少なかった。
待ちに待ったフラッグシップ・サルーン「300」とコンパクト・カー「イプシロン」の投入で、この数字がどこまで伸びるだろうか。
ソース:
http://jp.autoblog.com/2012/11/16/chrysler-ypsilon-press-conference/ 画像:
http://www.blogcdn.com/jp.autoblog.com/media/2012/11/10001.jpg