ポルトガル議会は31日、財政赤字削減目標を達成するため、近代の歴史で最大規模の増税を盛り込んだ2013年予算案を可決した。
ポルトガル政府は、国際社会から救済を受けた際に求められた条件を守るには増税が不可欠だと訴えているが、国民の間では抗議行動が
再び広がっているほか、増税策が貧困層に過度の負担を強いているとして、予算案の合憲性をめぐって憲法裁判所に持ち込まれると
みられる。
ポルトガルのコエリョ政権は、欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)から780億ユーロ(1010億ドル)に上る支援を受ける
条件として義務づけられた財政赤字削減目標を達成するため、増税策を決定。
議会はこの日、議席の過半数を占める連立与党の賛成多数で増税策を盛り込んだ予算案を可決した。野党はすべて反対に回った。
増税策は、所得税、不動産税、金融取引税などを引き上げる内容で、一部の家計にとっては給与の2カ月分に相当する増税が
実施されることになる。
これに対し、議会の周辺には数千人のデモ隊が集まり、抗議行動を繰り広げた。人々は「政府は退陣すべきだ」、「予算案は通さない」
などと訴え、コエリョ首相の名を意味する「ラビット」をもじって、猟銃の模型や獲物を入れる籠を持ちながら
「ウサギ狩りの季節が始まった」と叫ぶ人々も見られた。
予算案は今後、ほぼ間違いなく憲法裁判所に持ち込まれる見通し。憲法裁判所は7月にも緊縮策の一つを拒否している。
今回の予算案に対して憲法裁判所がどんな判断を下すかは読みにくい。リスボン大学政治科学研究所のPedro Magalhaes氏は
「裁判所から何らかの違憲となる点があると指摘されても、修正な比較的容易なケースも考えられるが、予算案が葬り去られ
政治危機に発展する可能性も否定できない」とコメントした。
ポルトガルの判事組合は、予算案はすべての人が平等に課税されるべきという憲法が定めた原則に違反しているとして、予算案に
反対する考えを示している。
2012年 11月 1日 12:23 JST
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE8A002F20121101