農作物の鳥獣被害を抑えるため、和歌山県田辺市は有害駆除や田畑の防護柵設置に伴う補助金を年々増加させ
捕獲数も年々増えている。しかし、被害額は減っておらず、市議会からは一層の対策強化を求める意見が
相次いでいる。
市農業振興課によると、有害鳥獣の捕獲数は合併後の2005年度が628匹、06年度1073匹、07年度769匹
08年度1094匹、09年度1092匹、10年度1742匹と徐々に増加している。
イノシシ、サル、シカ、アライグマを対象にしていたが11年度からはカラスも加えて総数は合併後最多の1842匹
(羽)となった。
有害鳥獣の捕獲に伴う補助金は05年度が1千万円未満だったが、06年度に1千万円を超え、11年度は初めて2千万円を
超えて2173万円に上った。
田畑の防護柵は事業費3万〜30万円を対象に、資材費の半額(1戸当たり上限15万円)を助成している。助成費用は
05年度は220万円だったがその後、354万円、408万円、486万円、567万円と増えた。旧4町村を対象に
していたが、10年度から旧市内も対象に加えた。10年度は606万円、11年度は693万円、12年度は9月補正も
合わせて1千万円を計上している。
市は捕獲と防護柵設置の2本立てで鳥獣害対策を進め、費用を年々増やしているが、被害を抑制するまでの効果は
見られない。農作物の被害額は05、07年度が最も多い3900万円台。
09〜11年度は3300万〜3500万円台で推移している。
9日に開かれた市議会の産業建設委員会では、議員から鳥獣害対策を強化するよう要望が多く出た。
吉本忠義議員(無)は「農作物をやられては農家の耕作意欲が弱まる。農地が減ってしまう」などとし、対策強化を
求めた。安達幸治議員(無)は、有害鳥獣の捕獲に協力している猟友会との連携を深める必要性を指摘し、「猟友会に
広域的な捕獲に取り組んでもらえるよう市が猟友会と協議する場を持ち、有害鳥獣対策を進めてほしい」と要望した。
市農業振興課は「これまでの有害鳥獣対策をさらに強化していきたい」などと回答した。
ソース : AGARA紀伊民報 (10/10)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=240101