彦根市は、市内に約8000戸ある空き家が放置され、防災、防犯面で悪影響が出ないよう、所有者に求める
「空き家適正管理条例」を市議会12月定例会に提案する。県内で初めてという。所有者への助言、指導、勧告
命令を盛り込み、従わない場合は公表する内容。19日まで素案を市民に示し、意見を募る。
空き家を長年放置すると、火災や倒壊で隣家が被害を受けたり、不審者が住みつくなどの恐れがある。
空き家条例は、少子高齢化や核家族化などによる空き家の増加を受けて、埼玉県所沢市が2010年に初めて
制定して以降、採用する自治体が増えている。
彦根市では現在、市内の住宅約5万戸のうち築50年以上の住宅を中心に約8000戸が空き家となっている。
同市によると、自治会を通じて近隣住民から「荒れ放題で怖い」などの苦情が年々増えているという。
所有者の中には、金銭面から取り壊しに応じなかったり、債務物件となっていて相続を放棄したりする人もいるという。
取り壊しなどの行政代執行は、訴訟に発展する可能性があり、条例制定により、まず所有者の責任を明確化し、放置の
抑制を目指すことにした。
条例案の素案は、所沢市の事例を参考に、〈1〉空き家の実態調査〈2〉所有者への助言、指導、勧告、命令
〈3〉命令に従わない所有者の氏名を市ホームページや物件前で公表する〈4〉倒壊の危険があるなど緊急時は警察などと
連携し、立ち入り禁止とする――などを基本方針としている。
同市建築指導課は「現状では所有者にお願いするしかないが、条例化することで、空き家の処理を手続きを踏んで
進められるようになる」としている。
素案は、市のホームページ(
http://www.city.hikone.shiga.jp/)の検索欄に「空き家」と記入すると表示され、所定の
書式に意見を書き込んで送信するか、印刷して記入し、同課のファクスに送るなどする。
■記事
読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/shiga/news/20121010-OYT8T01381.htm