遠隔操作型とみられるウイルスに感染したパソコンから犯罪予告メールが送られるなどした事件で、
大阪府警に威力業務妨害容疑で逮捕されたアニメ演出家北村真咲さん(43)(釈放)の氏名が、
問題のメールに記されていたことがわかった。
自ら名乗るのは不自然として、府警は第三者が北村さんを犯人に仕立てて陥れようとした
可能性も視野に入れたが、ウイルス感染に気付けないまま「第三者の関与なし」と判断していた。
捜査幹部は「捜査に不備があったと言われても仕方がない」としている。
捜査関係者によると、北村さんの名が記載されていたのは、
7月29日に大阪市のホームページ(HP)に届いたメール。
「(同市の)ヲタロードで大量殺人する」との文面の最後に、北村さんの氏名が漢字で書かれていたが、
名前のふりがなは「しんさく」と誤っていた。
北村さんは府警の任意の事情聴取に関与を否定し、「市のHPも見たことがない」と説明。
しかし、府警が北村さんのパソコンを解析したところ、メールが送信された時間帯に、
市のHPに接続していた記録が削除されていたことが判明。
ウイルスも検出されなかったため、府警は北村さんが証拠隠滅を図ったと判断、
8月26日に逮捕し、大阪地検が9月14日に偽計業務妨害罪で起訴した。
ところが、その後の捜査でウイルス感染が発覚。メール送信に加え、接続記録の削除も、
何者かが遠隔操作で行った疑いが強まり、北村さんは逮捕から26日後の同21日に釈放された。
ウイルスにはパソコン内のデータを盗み見する機能があることから、
北村さんの氏名もこうしたデータから読み取られたとみられるが、読み仮名まではわからなかったらしい。
府警は北村さんを逮捕した際、メールに氏名が記されていたことを公表していなかった。
捜査幹部は「自ら犯人と名乗っても接続履歴を消せば逮捕されないとの挑発的な意図もあると考えていた」と話している。
◇読売新聞は8日付「PC乗っ取り犯罪予告か」などの記事で、
アニメ演出家の北村真咲さんを匿名で報道してきましたが、今後は北村さん側の意向に基づき、実名に切り替えます。
ソース (2012年10月10日 読売新聞)
http://osaka.yomiuri.co.jp/e-news/20121010-OYO1T00251.htm