古代マヤ、ワカ王国の女王の墓を発見
グアテマラ北部の遺跡で、古代マヤ文明の女王が埋葬されたと考えられる墓と遺骨が見つかった。
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/bigphotos/images/news-maya-queen-conch-effigy_59899_big.jpg 墓から出土したアラバスター(雪花石膏)製の小さな壺。老女の顔の彫刻が施されている。
Photograph by El Peru Waka Regional Archaeological Project
発見場所は、かつての古代マヤ都市、エル・ペルー(ワカとも呼ばれる)の遺跡だ。西暦672〜692年、ワカ王国(Wak=ムカデ)を
軍事的に支配していた、カベル女王(Lady K'abel)の墓である可能性が高いという。
今年行われた発掘調査は、ワシントン大学の考古学者デイビッド・フレイデル(David Freidel)氏が率いた。
遺骨とともに、「カベル」という名前が記された陶器の花瓶、翡翠(ひすい)の装身具、石像などさまざまな副葬品が出土した。中でも
決定的な証拠となったのが、ホラガイの形をしたアラバスター(雪花石膏)製の壺で、表面には老女の顔と腕の彫刻が施されていた。
研究チームによると、この壺の裏側にはマヤの象形文字が刻まれ、「“スイレンの手”女王」や「ヘビの女王」と記されているという。
どちらの名前もワカ王国を統治していたカベル女王を指すとみられる。当時、一族は勢力を拡大し、古代マヤの首都カラクムル
(現在のメキシコシティ)に、カーン(Kan=ヘビ)王朝を築いていた。
夫のキニチ・バラム(K'inich Bahlam)王とともに統治していた当時の女王の称号は、「カロームテ(Kaloomte)」であった。「最高の
戦士」という意味で、王よりも高い権威を示している。
◆マヤの女王の墓である可能性は高い
遺骨の保存状態が悪く年齢や性別の特定は困難だが、頭蓋骨を基に復元した容貌が古代の肖像画に刻まれた女王の厳しい
顔つきと一致している。
また、トゲのある赤色のカキの殻が胴体下部に置かれており、女王の墓を示すもう1つの有力な証拠になった。ワカの女王たちは、
腰周りにこのような貝殻を飾っていたという。
テキサス大学オースティン校でメソアメリカ美術を研究するデイビッド・スチュアート(David Stuart)氏は、「王墓に葬られた人物の
特定は、壁面に名前でも書かれていない限り難しい」と話す。
しかし、「今回は女王の墓である可能性が高いだろう。壺がカベル女王からの贈り物で、女王自身は別の墓に葬られている可能性も
あるが、象形文字の解釈は正しい。他のマヤ碑文に刻まれた女王の名前と一致するので、カベル女王を指していることは間違いない」
と同氏は説明する。
◆女王の墓は畏敬されていた
スチュアート氏の説明によると、カーン王朝には、王女や一族の女性をワク王国のような属国の王に嫁がせるという慣習があった。
そのため、カベル女王などの女性は大都市カラクムルと血縁関係でつながっていたという。「こうした女性は記念碑が作られ、地方
国家の政治的象徴になっていたとみられる」と、同氏は話す。
エル・ペルー(ワカ)は面積約1平方キロの都市で、ピラミッド寺院、公共の広場、宮殿、民家が並んでいた。しかし何世紀もの長い
年月の間に建築物は崩れ落ち、いまでは熱帯雨林にすっかり覆われてしまっている。
研究チームは、王国が滅亡後も長らく畏敬の念と宗教的関心の的になっていた理由を、王墓の存在が示していると話す。「一般
市民は、ワカの黄金時代と統治者である女王と夫を何時までも追慕していたに違いない。再興を願って質素な供物を捧げる彼らの
姿が目に浮かぶようだ」。
James Owen/National Geographic News October 5, 2012
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