進まない地域運営学校の導入、閉鎖性の表れか
いじめを受けていた大津市の中2男子が自殺した問題で、対応にあたった学校の閉鎖的な姿勢が批判されるなか、
地域住民に学校運営について一定の権限を与える「コミュニティ・スクール(CS)」(地域運営学校)の必要性を指摘
する声が教育界で高まっている。文部科学省は全小中学校での導入を促しているが、学校側の抵抗もあり進んで
いないのが実情だ。
CSに指定された小中学校は、教育委員会に任命された地域住民ら10人程度からなる学校運営協議会を設置
する。「学力を上げる」などの基本方針の了承や、運営や人事について校長や教委に意見を述べる権限が認められて
いる。
全国コミュニティ・スクール連絡協議会会長を務める東京都三鷹市教育長の貝ノ瀬滋氏は「子供の問題は複雑化
しており、学校だけで対応するのは限界がある。地域住民の多様な価値観を学校教育の中に入れていくことで、学力
向上やいじめ、不登校などの問題解決にもつながる」と話す。
ただ、CSの指定は、各市町村教委の判断に委ねられている。文科省によると、4月1日時点で指定された公立
小中高校などは昨年より394校増え、38都道府県の1183校。文科省は全小中学校での導入を促しているが、
現在はわずか3・6%にとどまる。
背景には、学校運営や人事に地域住民ら外部の人間が関与することを嫌う学校の閉鎖性がある。大津市で自殺
した生徒が通っていた中学校と市教委も当初、「自殺の練習をさせられていた」と記された生徒アンケートを公表しない
などの閉鎖的な対応をとり、批判を浴びた。
貝ノ瀬氏は「教師以外の大人の目が、学校に注がれていることが重要で、学校に対し、良い点も悪い点も指摘する
人がいないと、開かれた学校とはいえない」と指摘している。
産経Biz 2012.8.21 08:29
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120821/cpd1208210829007-n1.htm