松本市四賀地区の住民でつくる四賀地区松くい虫対策協議会は、拡大を続ける松くい虫被害を抑えるため、
無人ヘリコプターによる農薬散布を導入する方針を決め、22〜29日に住民対象の説明会を開く。
地元住民の理解が得られれば、市が来年度に散布する計画だが、一部住民には健康被害などを心配する声も出ている。
2011年度に松本市が伐採や薬剤処理などをした松くい虫の被害木は2060本で、10年度比2・5倍に増加。
このうちマツタケ産地の四賀地区は、6割を超える1260本(前年度比2・7倍)が処理された。
12年度も11年度をはるかに上回るペースで被害木が確認されており、「伐採や薬剤処理など従来の方法では、
物理的にも予算面でも対応が追いつかない状況」(市耕地林務課)という。
四賀地区の対策協は6月に発足し、地元の町会長や林業関係者など18人で構成。
従来の防除法では松くい虫の被害拡大を抑えられず、地域の山林を守ることが困難だとして、
無線操縦ヘリによる農薬散布の導入を目指すことを決めた。対策協事務局の市四賀支所は
「地元の意見を聞き、合意を得た上で、できる所から散布したい」としている。
これに対し、ヘリの農薬散布による健康や生態系などへの影響を不安視する同地区の住民ら
10人余が「四賀里山のくらしを考える会」を結成。15日夜に地区内で会合を開いて意見交換し、
「健康被害への懸念などをまとめ、中止を求める要望書を市長に出したい」「地域内で
対立が生まれないような形で散布を避けることができないか」といった声が出た。同会は当面、
住民説明会で散布の効果や健康リスクなどへの疑問を投げ掛けていく方針だ。
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