明治から大正に元号が変わったのは、ちょうど100年前の1912年7月30日。大正時代は第一次世界大戦や米騒動、
ロシア革命などが相次いだ激動期だった。そこから今の日本を考えるための教訓を得られるのではないかと、私は昨年、
シリーズ「大正100年??歴史に探る日本の針路」(月1回掲載)を担当し、取材した。中でも10万人を超す死者・行方不明者を出した
関東大震災(1923年)は、その後の社会のあり方に深い傷を残したことを知った。そこには東日本大震災と原発事故後の日本社会を議論するうえでも、重要な視点が含まれていると思う。
◇「民衆の自信喪失」の教訓重く
「やはり震災は社会全体として、あまり振り返りたくない記憶だったでしょうね」
昨年夏、関東大震災に関する取材に鈴木淳・東大准教授(日本近代史)は答えた。私の質問は大震災からの復興が当時の人々にとって
「成功体験」となったのでは、という推測をぶつけたものだが、鈴木さんの答えは逆だった。理由は震災の際に起きた朝鮮人などの虐殺事件にあった。
http://mainichi.jp/opinion/news/20120808k0000m070148000c.html