クラゲ大量発生→電力不足? 海水取水できず火力運転停止 関西電力、頭痛の種
関西電力がクラゲの大量発生に悩まされている。例年は数件というクラゲによるトラブル
が今年は100件超も発生。梅雨明け後もその数は減らず、蒸気を冷やす海水を十分に取水
できずに7月下旬には火力発電所が運転停止に追い込まれた。関電の電力供給力は大飯原発
3、4号機(福井県おおい町)の再稼働で一息ついたが、クラゲ対策に有力な手段はなく、
関係者は頭を抱えている。
気温が高まり、関電管内の電力需要が2673万キロワットにまで上昇した7月27日。
兵庫県赤穂市にある赤穂火力発電所2号機が午後2時半、運転を緊急停止した。押し寄せた
クラゲを処理できなくなったからだ。
発電所はタービンを回す蒸気を冷やすため、海水を循環させている。取水口にはゴミなど
を取り除くネットが張られ、ここをすり抜けた異物は回転式の集(しゅう)塵(じん)機で
取り除かれる。台風時の流木などのほかは異物の大半はミズクラゲ。集めたクラゲはミキサ
ーにかけ、脱水したうえで廃棄処分するが、1500トンの容量を持つクラゲ貯蔵用プール
が満杯になってしまい、2号機の運転を停止せざるを得なくなった。
クラゲの襲来は続き、翌28日には1号機も停止に追い込まれた。2基の出力は原発1基
分に相当する計120万キロワット。クラゲ被害は赤穂だけにとどまらず、南港火力発電所
(大阪市)や姫路第2発電所(兵庫県姫路市)などでも発生。大飯原発再稼働後も供給力確
保のため29基の火力発電をフル操業している関電にとって、クラゲ被害は深刻だ。
今年のクラゲ被害は突出している。発電出力抑制に至った件数は、昨年までの過去5年間
は年間3〜10件だったが、今年は110件(7月26日現在)。クラゲによる被害は火力
発電だけでなく、3号機がフル稼働を控えた大飯原発でも、取水口にクラゲが大量発生して
出力を低下する騒ぎになった。
関電以外でも、同じ瀬戸内海に面する中国電力水島火力発電所1号機(28・5万キロワ
ット)が同28日に運転停止した。連続運転していた集塵機が壊れてしまったのだという。
もっとも、四国電力は今年のクラゲ被害はゼロで、瀬戸内海でも場所によってさまざまだ
。相手は潮に任せて漂うクラゲだけに、関電幹部は「よりによって電力需給に余裕のない今
年に大量発生するとは…」と対応に苦慮している。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120805-00000581-san-bus_all