株式会社Jコミは8月1日(水)にiOS用の新しいマンガ閲覧アプリ「JComi Viewer
+」を公開した。同社は絶版した作品に広告を付けて無料配信する「Jコミ」の
運営を行っている。読者のクリックによって発生した広告収入がすべて作者へ
還元されるシステムが話題となった。
代表取締役を『ラブひな』や『魔法先生ネギま!』などのヒット作を持つマン
ガ家・赤松健さんが務めていることでも知られている。
「JComi Viewer+」はWEBブラウザ付きのPDFビュワーだ。アドレスを登録する
ことで、サイトからPDFをダウンロードして読むことができる。Jコミのアドレ
スはあらかじめ登録されているため、マンガをiPhoneやiPadに入れて持ち歩く
ことが可能となる。ここまでの機能はごく普通のPDFビュワーとさほど変わら
ない。
本アプリの最大の特徴は、規制が厳しいとされるiPhoneやiPadで、検閲なしに
マンガを読むことができる点だ。電子書籍では性的な表現や差別用語のある作
品は検閲されてしまうことも多い。
だが「Jコミ」のプレミアム会員ならば、無料会員に提供されている一般作品
だけでなく、アダルト作品などもダウンロードして閲覧できる。それゆえに同
社は本アプリを「奇跡の無検閲マンガアプリ」と称している。
アダルト要素のあるiOS用アプリは規制の対象となる。だが「JComi Viewer+」
は単なるPDFビュワーのため規制の対象外だ。Appleも外部からダウンロードし
たマンガの内容までは規制できないため、今回の「無検閲マンガアプリ」の配
信が実現となった。
「Jコミ」では「JComi Viewer+」の公開を記念してプレミアム会費2ヶ月間無
料のキャンペーンを実施中だ。プレミアム会員はすべてのマンガを縦1170×横
827の大画面で読め、赤松さんが電子書籍業界のニュース解説を行うメルマガ
「はんぺん」も月2回配信される。
スマートフォン時代の到来により電子書籍の表現規制は以前より厳しくなった
と言われている。またプラットフォームを提供する事業主によって規制が決め
られてしまい、作者は蚊帳の外に置かれている状況も存在する。今回のアプリ
配信はそのような電子書籍業界に一石を投じたいという赤松さんの狙いもある。
これまでも幾度となく繰り返されてきたマンガと表現規制の問題が電子書籍上
でどのように展開していくのか。その動向にも着目したい。
[高橋克則]
http://animeanime.jp/article/2012/08/02/10997.html