「神の粒子」ヒッグス粒子を探索する実験は89年から試みられてきた。巨大トンネルを
備えた大型加速器内で陽子同士を衝突させ、そのかけらからヒッグス粒子を見つけだそう
というのだ。
実験はLHCの前身に当たる「LEP」で始まった。大きさはLHCと同じで、JR山手線と
ほぼ同規模の1周27キロ。10年以上実験を続けたが、陽子衝突のエネルギーが足りず、
検出を断念した。米国では、素粒子研究でCERNと成果を競い合うフェルミ研究所が
加速器「テバトロン」を使って探索を試みたが、やはり不検出に終わった。同研究所は
今月2日、「テバトロンでヒッグス粒子の発見を強く示唆する成果が出た」と発表したが、
確からしさではLHCの今回の成果に及ばなかった。
CERNはより強力な加速器が必要と考え、LEPの跡地にLHCを建設した。
水素原子の質量に換算して100個以上の重い素粒子の探索が進み、今回、
「125〜126個付近」という範囲まで絞り込んだ。「新粒子発見」は、こうした困難を
乗り越えて得られた成果でもある。
LHCの検出器には日本の技術が生かされている。中央にある超電導磁石は
茨城県つくば市の高エネルギー加速器研究機構が開発。生じた素粒子が飛び散った軌跡を
調べる装置は、2002年のノーベル物理学賞を受けた素粒子ニュートリノの観測装置
「カミオカンデ」の光センサーを作った浜松ホトニクス(静岡県)が担当した。
■ソース: 毎日新聞 Web版 2012年07月05日 01時24分配信
http://mainichi.jp/select/news/20120705k0000m040145000c2.html