主に戦前、検閲制度によって発売禁止処分を受けた本を集めた珍しい
企画展が、きょう5日から東京都千代田区の明治大中央図書館ギャラリー
で開かれる。
プロレタリア作家の小林多喜二「蟹工船」、大逆事件で処刑された
幸徳秋水「平民主義」など約250点の発禁本が展示される。
この「城市郎文庫展――出版検閲と発禁本」は、発禁本の収集家と
して知られる城市郎さん(90)の旧蔵資料を中心とするもの。
城さんは戦後、会社勤めの傍らコレクションを始め、約7000冊の蔵書を
昨年、明大に寄贈。うち2000冊が発禁、非合法出版関連の書籍とされる。
戦前は出版法や新聞紙法に基づく検閲制度が敷かれた。政治的観点
だけではなく、風俗を乱す書籍も対象となり、1930年に刊行された
江戸川乱歩の小説「蜘蛛男」が約5100字の削除改訂を命じられた。
今回の展示では「蜘蛛男」無削除完本版や、03年に華厳の滝で投身
自殺した旧制一高生、藤村操を詐称した書き手が記し、数点しか現存が
確認されていない偽書「煩悶記」なども公開。
出版と表現の自由の問題を考えさせる。7月22日まで。
(2012年6月4日20時55分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/national/culture/news/20120604-OYT1T01037.htm 依頼がありました