暴力団との関係を断とうとする企業などが襲撃される事件が福岡県などで相次いでいることを
受けて、警察庁は襲撃に関与したと判断された危険な暴力団を新たに指定し、所属する組員が
不当な要求をしただけですぐに逮捕できるようにすることなどを盛り込んだ暴力団対策法の
改正案の骨子をまとめました。
暴力団対策法の改正は、暴力団との関係を断とうとする企業や役員の自宅などが襲撃される
事件が、去年、福岡県などで相次いだことを受けたもので、警察庁がまとめた改正案の骨子を
有識者の検討会が、5日、了承しました。
骨子では、実行犯を特定しなくても襲撃に関与したと判断された暴力団を、1年以内の期間で
「特定危険指定暴力団」に指定します。そのうえで、被害企業の周辺などを「警戒区域」に設定し、
所属する組員がその区域内で企業や住民に不当な要求をした場合、これまでは中止命令を
出して従わなかったときにしか逮捕できなかったのを、すぐに逮捕できるようにします。
また、住民などに危険が及びかねない対立抗争を起こした暴力団を「特定抗争指定暴力団」とし、
相手の組員の関係先をうろつくなどしただけで逮捕できるようにします。
暴力団の組織としての事件への関与を認定することで摘発しやすくするのがねらいで、
警察庁は改正案を次の通常国会に提出することにしています。
警察庁が従来よりも一歩踏み込んだ形での暴力団対策法の改正に乗り出した背景には、
福岡県を中心に暴力団によるとみられる民間企業や個人を狙った凶悪な事件が後を絶たない
という現状があります。暴力団との関係を断とうとする企業や役員の自宅などが拳銃や
手りゅう弾で襲撃される事件は、去年、分かっているだけで福岡県を中心に27件相次ぎ、
1人が死亡し、4人がけがをしています。
このうち、北九州市では去年11月、建設業団体の副会長を務めていた男性が自宅前で拳銃で
撃たれて殺害される事件まで起きています。
深刻な事態を受けて、福岡県知事や福岡市長は去年、民間企業などに危害を加える暴力団の
取締りの強化を警察庁などに要請していました。一方、暴力団の犯罪が組織化、巧妙化
するなか、従来の法律の枠組みでは実行犯を特定するのが難しくなってきているという警察側の
事情もあります。
一連の事件で、警察は、被害者との関係や手口などから指定暴力団の「工藤会」などが関与した
疑いがあるとみて捜査していますが、検挙できたのはわずか1件にとどまっています。
海外の捜査機関のように、犯行の計画について謀議しただけで摘発できたり、おとりによる
潜入捜査が認められたりといった組織犯罪に対する捜査手法が確立されていないなか、
警察庁は、実行犯を特定できなくても、組織としての事件への関わりを認定することで暴力団の
取締りを強化できる従来よりも一歩踏み込んだ形の新たな仕組みを作ることにしたものです。
暴力団対策に詳しい村上泰弁護士は「海外と比べて組織犯罪に対する捜査手法が限られている
日本で、今までのような個人に対する規制ではなく、暴力団組織そのものを規制するという今回の
法改正は非常に意味があるし、効果もあると思う。ただ実行犯が特定できないなかで状況証拠から
認定するには、きちんとした判断が必要で、暴力団による訴訟のリスクも考慮してしっかりと
運用するよう努めるべきだ」と話しています。
ソース:NHK NEWS WEB(1月5日 16時47分)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120105/t10015073851000.html ご依頼いただきました
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1324732508/367