水資源が豊富な日本で見直されつつある水力発電。中でも地元密着・地産地消型の「小水力発電」が注目されている。
大きなツリーを見つめるカップルや親子連れ。すっかりクリスマスムードのディズニーリゾート。
ディズニーリゾートで使われている水は、ディズニーリゾートに来る前に、一仕事してきている。
水が行った一仕事、それは「小水力発電」。千葉・浦安市の全域と、市川市の一部に水を送る妙典給水場。
1日平均およそ11万トンの流れる水が持つエネルギーを利用して発電を行い、施設内で利用している。
北船橋給水場長の永野龍志さんは「(1年間で使う)電力量は507万kWhですね。それから発電量として137万kWh。
割合としては27%でございます。それなりの効果が出てるということなもんですから、びっくりしている」と話した。
発電機でつくれる電力は、最大で毎時300kW。
こうした1万kW以下の小規模な水力発電が小水力発電と呼ばれている。
温室効果ガスを出さないエコなエネルギーで、小さな川や水路も利用できる。
そして日本は水資源には事欠かないということで、日本各地220カ所以上で行われている小水力発電。
震災後の電力不足、そして脱原発の機運の中、さらに注目が集まっている。
岐阜・郡上市の北西部。福井県と接する標高700mの集落・石徹白(いとしろ)。
集落の中にある食品加工所を見てみると、電源ケーブルは外へと伸びていた。
電源ケーブルをたどってみると、水車につながっていた。この直径3mの水車は、常時1.5kWの電気を作っている。
目標は、電力の「地産地消」。石徹白の水で石徹白の電力を賄うのがゴール。しかし、「やすらぎの里 いとしろ」の
久保田 政則理事長は、「家1軒分では若干多い、じゃあその余ったものどうしてるのっていうと、現状では、空気中に
捨てているというような状態で」と話した。
2007年に設置した最初の発電機は、現在は常時600〜700kWを発電。NPOの事務所兼スタッフの住居の電力を賄って、まだ余る。
食品加工所の水車も、想定以上の電力を生む為、毎時500kW程度が余る。バッテリーにためてはいるが、多くを捨てている。
電気を作ったが、余ってしまうという贅沢な悩み。震災後に増えたという見学者からは、費用対効果についての質問が多い。
「やすらぎの里 いとしろ」の久保田理事長は、「費用対効果の話は当然出てくるけど、それだけの考えで始めようと
するんなら、わたしとしては、あまりお勧めできない」と話した。
2つの水車の設置には、あわせておよそ900万円がかかっている。文字通りの小規模な発電で元を取るには、何十年という
スパンで考えなければならない。
さらに専門家は、ほかにも壁がある事を指摘。全国小水力利用推進協議会の中島 大事務局長は「河川法の手続きなんかも
ありまして、いろいろ書類書かなきゃならなくて大変ということはあります」と話した。
そしてもう1つが、コストや手間がかかってもやってみようというモチベーション。
全国小水力利用推進協議会の中島事務局長は「3.11以降のこともあって、やっぱりこの資源生かして、自分たちで電気を
作りたいと、作っていこうという事になる事が、まず第一のステップですよね」と話した。
石徹白の場合について、「やすらぎの里 いとしろ」の久保田理事長は、「この集落内に流れてる水を見て、もったいないな
何か利用できないかなと、常々思ってた」と話した。
ふるさとの自然エネルギーを地域活性化に使いたいという思い。現状ではコストに見合わないといわれる小水力発電に注目が
集まるのは、自然とともに暮らしてきた日本人の、郷土愛に訴えかけるものがあるからだろうか。
▽ソース:FNNニュース (2011/12/07)
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00213027.html (動画有り)