とんでもない話にも聞こえるが、かつて医学界から避けられていた
“糞便微生物移植(fecal microbiota transplant:FMT)”が
広範な胃腸疾患に有用であることが新しい研究で示され、米ワシントンD.C.で開催された
米国消化器病学会(ACG)年次集会で報告された。
この治療法により、重度の過敏性腸症候群(IBS)や
細菌感染を軽減することができるという。
FMTでは、光学大腸鏡準備後にドナーの糞便を採取する。ドナーは通常、
配偶者か親族であるが、誰でもかまわない。その検体を生理食塩水と混合し、
60ccシリンジに吸引できる粘度にした後、患者は
ルーチンの大腸鏡検査を受け、その際に混合物を挿入するというもの。
これは健常な微生物叢から新しく移植した微生物集団により、患者の潜在的な
問題を解消するというもので、これが有効であるという。最も有望な研究のいくつかは、
難治性のClostridium difficile(クロストリジウム-ディフィシル)感染に対する処置の
有効性を示したもの。この細菌は、身体障害、さらには生命を脅かす下痢や吐気、嘔吐、腹痛を引き起こす。
米インテグリスIntegrisバプティスト・メディカルセンター(オクラホマシティ)
消化器健康センター内科部長のMellow氏は、「C. difficile感染が何度も再発する患者の
細菌集団は正常な人と全く異なる。重要なのは微生物の多様性(diversity)の著しい減少である。
多種類の微生物の菌株が存在せず、少ない菌株および種が多数存在する」と述べている。
同氏の研究では、以前に平均5つの治療コースを受け、反応がみられなかった
C. difficile感染患者の98%で症状の迅速な解消がみられた。最初のFMT移植で
みられなければ2回目でみられた。同氏は「患者の症状は平均11カ月間みられ、多くは 救急施設や高度看護施設にいるか外出できないほどであった。ただし、
移植はファーストラインの治療法ではない」と述べている。
ソース
http://news.e-expo.net/wo