こうも首相がころころ代わる政治に、国民は飽き飽きしているだろう。しかしあえて言う。
次の内閣は短命政権でいい。もともと、民主党の次期代表選まで1年、次期総選挙は遅くとも2年後だ。
代表選はともかく、民主党が次の総選挙で勝つためには、相当の得点を稼がなければならないのだが、
2年間でそれをやるのは難しい。
それに、民主党は2009年総選挙時のマニフェストの一部目玉政策(子ども手当や高速道路無料化)を投げ打ってしまった。
例えば子ども手当は、「社会が子どもを育てる」という理念から所得制限も付けないとしていた。
自民党や公明党の「児童手当」とはそこが違うというのが民主党の主張だった。
しかし菅首相辞任の道筋をつけるために、所得制限を付けてしまった。
こうした理念の変更は、本来、もう一度総選挙で国民に問い直すのが筋だと思う。
子ども手当だけではない。税と社会保障の一体改革や成長戦略、
TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加、農業再生などなど、日本の将来を大きく左右する問題について、
現在の民主党がそれなりのビジョンを持っているように見えないのである。
というより党内の意見はバラバラで、「挙党一致」という掛け声があまりにも空しい。
自民党、公明党と協力して(他の政党はどうでもいいというわけではない)復旧・復興のための内閣を組み、
来年の3月、遅くとも9月には総選挙を行うという「時限内閣」にするのがよさそうだ。
もちろんその間は、政党間の対立がある難しい問題はできるだけ棚上げして、どうしても必要なことだけをする。
来年度予算は、メリハリのない「先送り予算」にし、自民党や公明党がのみやすいものにする。
外交的には、それこそ「顔の見えない」政権になるだろうが、それでも復旧や復興が遅れるよりはましだというぐらい腹をくくってもよかろう。
その政権が続く間、各政党は、日本の中・長期的な課題についてそれぞれのアイデアを国民に提示し、
じっくり考えてもらう。例えば国の借金について、それをどうやって解決するのかを政党間で競うのである。
国家公務員の人件費を削ればいいというような非生産的な議論はもう卒業しなければならない
(国家公務員の人件費を2割削ったところで1兆円にしかならず、社会保障費の自然増に食われてしまう程度でしかない)。
無駄遣いを削るというような耳障りのいい議論は賞味期限切れだ。すでに民主党が予算も精査し、
事業仕分けまでやっても、ほんの数兆円の財源を見つけるのがやっとだった。(抜粋)
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1108/29/news007.html