福祉用ロボットとして注目される自立動作支援ロボット「ロボットスーツHAL(ハル)」が、沖縄リハビリテーションセンター病院
(沖縄市・宮里好一理事長)で導入され、入院患者に限定し、試行されている。リハビリの補助ツールとして、最新機器の可能性に
期待し、3月から運用を開始。脳卒中や脊髄損傷などで、下肢にまひがある患者9人がロボットスーツを体験した。
装着した患者には、リハビリに対する意欲の向上がみられている。(上地一姫)
ロボットスーツは、下肢に障がいがある人や脚力が弱くなった人の筋力の代わりとなり、歩行などの援助をする。筑波大学大学院の
山海嘉之教授が開発し、サイバーダイン(茨城県)が研究開発、製造する。
人が体を動かす時に脳から筋肉に伝わる指令を、肌に張ったロボットスーツのセンサーが読み取り、装着者の「意思」に従って、
動作を助ける。パソコンのモニター画面を通して、重心位置や体重移動の様子などを、リアルタイムで見ることができる。
同病院は、入院患者の約4割が、脳卒中や脊髄損傷などで体にまひがある。患者の立ち座りの補助や歩行訓練導入のきっかけに
役立てている。
装着訓練では、患者1人に対し、3〜4人の理学療法士や医師が立ち合う。安全面に配慮し、さまざまな角度から筋肉の反応などを
観察するためだ。まひの状態や発症してからの期間、筋力の状態などのデータを取りながら、効果や使用方法などを検証する。
脊髄炎による四肢まひがある島袋朋子さん(34)は、当初ロボットスーツに抵抗を感じた。70代の女性が装着している姿を見て、決意。
「足がスムーズに前に出る感じ。本来の歩き方を思い出した」と喜ぶ。脳出血後遺症で左半身にまひがある男性(59)は「ロボットを
着けているときは、いつもより足が上がる」と効果を実感。「頑張れば、機械がなくてもスムーズに歩けるかもしれない」とリハビリへの
モチベーションを高める。リハビリテーション科の又吉達副部長は「機能回復への期待は高いが、限界もあるだろう。効果を見極めたい」
と語った。
ロボットスーツHALは 那覇市の県立博物館・美術館で開催中の「夢ロボット博」で常設展示されている。
8月5日、山海教授の講演会「ロボットスーツHALの最前線」が行われる。
(2011年7月27日 16時53分 7時間57分前に更新)
福祉用のロボットスーツHAL
http://www.okinawatimes.co.jp/article_images/20110727/20110727_0929_a9PzKVhO_l.jpg http://www.okinawatimes.co.jp/article_images/20110727/20110727_0929_P5qAFwr9_l.jpg ロボットスーツHALは、脳から筋肉に伝わる指令をセンサーで読み取り、装着者の「意思」に従って動作を助ける
=沖縄市・沖縄リハビリテーションセンター病院
沖縄タイムス
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2011-07-27_21075/