【東京】ソニーのストリンガー会長兼社長は、同社が3年連続で損失を計上、新たな成長の
道を探る中で、2011年3月期の報酬の16%削減を受け入れた。
28日に開かれたソニーの株主総会では、プレイステーションと消費者向けエレクトロニクス
部門のトップである平井一夫副社長が中心的な役割を占め、ストリンガー氏の後任の
有力候補であることを印象づけた。
同副社長は、不振のテレビ部門の改善計画を示し、7年間連続の同部門の赤字を
反転させることがソニーのエレクトロニクス事業が直面する「最も重要な任務」だと強調した。
同社は、今年度もテレビ部門は損失を計上すると予想している。
ソニーによると、ストリンガー氏の昨年度の現金報酬は前年度の4億1000万円から
3億4500万円に引き下げられた。同氏はこれとは別に50万株のストックオプションも受け
取っている。ソニーが算定した理論的な1株の価値、1036円で計算すると5億1800万円と
なる。28日の同社株終値は2038円だった。
現金報酬の内訳は基本報酬が2億9500万円、ボーナスが5000万円。同氏は1年前も
同規模のストックオプションを付与されたが、このときの理論価格は813円だった。
11年3月期のソニーの純損益は2595億9000万円の損失だった。東日本大震災の
影響で1〜3月期に多額の繰り延べ税金資産の引当金計上があったことが響いた。
ただ、同社は今年度には800億円の純利益を計上できると見込んでいる。
同社はまた、オンラインゲームのプラットフォームやその他のオンライン・エンターテインメントの
サービスがハッカー攻撃にさらされたのに伴う顧客の信頼失墜と、ブランドイメージの低下の
修復に努めている。このハッカー攻撃で100万件以上のユーザーアカウントが流出した。
28日の株主総会では、3月11日の大震災以来29%下げている同社株価について、
何人かの株主が不満を表明した。ある株主はプレイステーション・ネットワークへのハッカー
攻撃に伴う信頼の失墜が株価下落の原因だと訴え、新しい方向に進んでいることを世界に
示すために社長を交代させるべきだと主張した。ソニーは株主に対して、発言の前に
姓名を明らかにするよう求めなかった。
ストリンガー氏はこの辞任要求に直接は答えず、自分の「一番の責任は変革のプロセスを
押し進める」ことと、次世代の首脳を育てることだと述べた。
平井副社長は、テレビ部門の改革には部品調達コストの削減や生産の効率化、それに
社全体の地理的および製品面での戦略の全面的見直しが必要だと述べた。また、こうした
戦略はプレイステーション事業の損失を食い止めるのに効果があったと指摘した。
平井氏の説明を受けて、やっとマウンドにエースを迎えたような感じだと述べたある株主は、
同氏が重要な事業を統括しているのに、なぜ取締役となっていないのかとの疑問を呈した。
取締役を指名する委員会の長を務める小林陽太郎社外取締役は、同氏を取締役と
する話し合いもあったが、結局は、取締役としての新たな負担を同氏に与えないことを
決めたと説明した。
平井氏は3月、執行役副社長に昇格し、それまでのプレイステーション事業に加えて
消費者向けエレクトロニクス部門を統括することになった。同氏の昨年度の報酬は
1億0100万円で、その前の年度の1億1000万円から減少した。
このほかに5万株のストックオプションを得た。
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