☆アップル、マルチタッチに関する特許を獲得――申請から3年を経て☆
スマートフォン市場でAppleが独占的な立場をさらに強める可能性も
(2011年06月23日)
最初に申請を行ってから3年以上を経て、Appleがようやく「iPhone」のタッチスクリーンに関
する特許承認を得た。タッチスクリーン式のスマートフォン市場で、Appleが独占的な立場
をさらに強める可能性がある。
米国特許第7966578号によると、Appleは、「タッチスクリーン・ディスプレイを備えるポータブ
ル多機能デバイスと連動して使用するための、フレーム・コンテンツを含むページ・コンテン
ツの表示技術に関するコンピュータ実装方法」について使用権を認められたという。
要するに、この特許はAppleに対し、「静電容量式マルチタッチ・インタフェース」(現在のスマ
ートフォンが一般的に採用している、いわゆるタッチスクリーン・インタフェース)の完全な所有
権を与えるものである。静電容量式マルチタッチ・インタフェース技術は、ユーザーがさまざま
なマルチタッチ・ジェスチャーを使用しながらタッチスクリーンを操作する方法を指す(例えば、
Webページを1本指でスクロールし、2本指でそのWebページ中のフレームを操作するといった
動作である)。
実際のところ、この特許は非常に幅広い項目を網羅しており、特定のタッチスクリーンを利用
するタブレットや音楽プレイヤーのメーカーにも影響がおよびそうだ。
とある情報筋は「PC Mag」サイトに対し、Appleは競争相手を排除するために同特許を根拠とし
てさらなる訴訟を起こし、HTCやSamsung、Motorola、Nokiaといったライバル社の“いじめ”に
走るかもしれないと語った。また別の特許専門家は、この特許申請が極めて詳細なものだった
ことから、(他のメーカーが)iPhoneに匹敵する製品を作ることが困難になり、ひいてはイノベー
ションが滞るおそれがあると指摘している。
もっとも、こうしたシナリオは“最悪の状況”を想定した場合のものだ。今回の特許承認が、必ず
しもApple以外の多様なメーカーがひしめくタッチスクリーン式携帯電話市場の終焉を意味する
わけではない。スマートフォン市場の未来は、Appleがこの特許を競合社に対していかに用いて
いくかにかかっている。もしもAppleが特許侵害のかどで任意の企業を訴えるならば、問題となる
マルチタッチ・インタフェースがAppleの同技術を直接的に複製したものであることを証明しなけ
ればならないだろう。HTCのような大手企業が、iPhoneのタッチスクリーンのあらゆる特徴を丸ご
とコピーするとは思えない。
最も考え得るものは、Appleが同技術を他社にライセンス供与し、この特許を法廷外で活用してい
くというシナリオだ。この場合、iPhoneや「iPad」と同じようなタッチスクリーンの仕組みを利用したい
と考えるすべての企業が、Appleに一定額の特許利用料を支払うことになる。
(Elizabeth Fish/PC World米国版)
▽ソース:Computerworld
http://www.computerworld.jp/topics/bg/192134.html