埼玉県川口市が、大気中の放射線量による被曝(ひばく)限度数値を毎時0・31マ
イクロ・シーベルト(年換算1・64ミリ・シーベルト)とする独自の基準を定めた。
国の統一的な安全基準が示されない中、市民から不安の声や問い合わせが絶え
ないとして、暫定的に設定した。7月中旬から、市内10か所で定期的に計測し、基
準を超えた場合には、保育園や学校の屋外授業などを制限し、保護者に注意を促
すという。岡村幸四郎市長が20日、記者会見を開いて発表した。
市によると、国際放射線防護委員会の基準である年1ミリ・シーベルト(自然放射
線と医療被曝を除く)に、放射線医学総合研究所が示す大地から放出される日本
の平均値0・34ミリ・シーベルトと宇宙放射線0・30ミリ・シーベルトを加えたという。
屋外の計測値が毎時0・31マイクロ・シーベルトを超えた場合には、保育園や学
校に対し、屋外活動を3時間以内にするよう指導、保護者に対しても下校後に屋外
にいる時間を3時間以内に抑えるよう呼びかける。毎時0・38マイクロ・シーベルト
を超えた場合は計4時間以内にするという。
今後、教師や保育士、保護者らにマニュアルを配布するなどする。岡村市長は「計
測値を公表するなら、数値が高かった時にどう対応するかも示すべきだ。国の対応
は足並みがそろわず、待っていられない」と話した。同市が16日に市内で測定した
計測値は毎時0・08〜0・15マイクロ・シーベルトだった。
(2011年6月21日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20110621-OYT8T00763.htm