フィンランドのノキアと米アップルが特許実施許諾契約を結び、一連の特許訴訟全てで和解した。両社が14日に明らかにした。
これで携帯電話世界最大手2社間の長い訴訟合戦にようやく終止符が打たれた。
ノキアの発表によると、アップルは、スマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」と多機能端末「iPad(アイパッド)」などのモバイル機器に使われている技術について、
ノキアに一時金を支払うとともに、契約期間中に特許使用料を払い続けることになる。ただし、その金額は明らかにされなかった。
ノキアは最近になり今年4〜6月期の業績予想を修正したが、今回の和解と契約締結により同期の業績が押し上げられる可能性があるとみている。スウェドバンクのアナリストはノキアが得る額を5億ユーロ程度とみている。
ノキアのスティーブン・エロップ最高経営責任者(CEO)は声明文の中で、ノキアのライセンス供与先が増加しており、それにアップルが加わることを非常に喜んでいると述べた上で、
今回の契約によって「移動通信市場におけるライセンス供与をさらに増やしていくことに取り組むことができる」と付け加えた。
両社は2009年から訴訟合戦を続けてきた。まず、ノキアが同年10月、アップルのiPhoneがノキアの10件の特許を侵害しているとして米国際貿易委員会(ITC)にアップルを提訴し
、その後iPadについても提訴。アップルはそれに対抗する形でノキアを逆提訴した。さらに今年3月、ノキアは「製品ほぼ全てで」アップルがノキアの特許を侵害しているとして、ITCに追加提訴した。
その結果、アップルが侵害したとされるノキアの特許は46件に上った。また、ノキアはITCへの2件の提訴に加え、英国とオランダ、ドイツでも同様な特許侵害の訴えを起こした。
ノキアの広報担当者によると、問題となっている同社の特許には、端末関連の技術や、タッチスクロールやディスプレイ・イルミネーションといった機能が含まれている。
同社は広範な特許ポートフォリオを構築するために、過去数十年にわたり430億ユーロ(約5兆円)の研究開発費を投入してきたという。
一方、アップルの広報担当者は、アップルとノキアが全ての訴えを取り下げ、両社の特許の一部を含むライセンス契約を結ぶことに合意したとして、「本件が解決し、事業に再び専念できる」と和解を歓迎した。
その上で、「iPhoneをユニークな製品にしている革新的技術の多くは対象となっていない」と強調した。
(以下省略)
http://jp.wsj.com/IT/node_249941