山手線借り切り「歌声列車」で被災地支援
スポニチ 2011年5月30日6時0分配信
歌声で東日本大震災の被災者を応援しようと平均年齢68歳の高齢者11人が結集し、
29日、JR山手線(11両編成)を丸ごと借り切ってチャリティー電車「歌声列車」を走らせた。
JR池袋駅から出発し、1周約1時間にわたり乗客全員が歌いまくるユニーク企画。被災した
宮城県からの参加者を含め約820人の歌声が車内に響き、被災地への義援金も集めた。
池袋駅を出発した臨時団体列車の名は歌声喫茶ならぬ「歌声列車」。参加者は首都圏
を中心に大阪、名古屋のほか九州からもやって来た。
被災地で奮闘するボランティアの若者たちに負けてられないと、最高齢92歳の高齢者
計11人が企画から運営までする手作りのチャリティーイベント。「どうせ歌うならひと味違う場所で」
と思いついたのが山手線だった。
1両ごとに、アコーディオン奏者の演奏に合わせ「青春時代」「ふるさと」のほか、東北の名曲
「北上夜曲」「青葉城恋唄」など約1時間ノンストップで合唱。山手線からは東京スカイツリー
などの名所を見物することができるが、あまりの熱気に窓ガラスが曇り、どこを走っているかも
分からないほど。
10号車で伴奏を担当していた南部敏郎さん(57)は、仙台駅前の歌声喫茶「バラライカ」
の経営者。33年続いた店は地震で大きな被害を受けたものの、常連たちに後押しされ4月
中旬に再開した。立ちっぱなしでの演奏にも「東京のシニアのパワーは凄い。元気をもらいました」。
また、宮城県岩沼市のアパートで避難生活を送る柏京子さん(56)は「皆さんから頑張ってねと
声をかけてもらいうれしかった。この元気を宮城に持って帰り、避難所でも披露したい」と笑顔で話した。
車内では募金箱が回されたほか、参加費(2000円)の一部を義援金として寄付する。
イベントに参加した東京都町田市の河合由紀子さんは「被災地支援の方法はいろいろあるけど
自分のできることで応援するのが一番。楽しくて支援になる。こんないいことはないわ」と強調した。
JR東日本によると、普段でも列車を丸ごと貸し出すことはしており、気になる料金については
「今回の企画に協力しているが、料金は公表できない」(広報部)としている。
≪アントキの猪木 ものまね封印≫イベントにはお笑いタレント・アントキの猪木(37)も参加した。
数カ月前、知人に誘われ新宿の歌声喫茶を訪れて以来、アナログ的な魅力にはまったという。
「歌の力は万国共通。この元気を被災地にも届けたい」と、ものまねを封印し、真剣な表情で話した。
▽スポニチ
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/05/30/kiji/K20110530000918890.html ▽宮城県から被災者の南部敏郎さん(右)と柏京子さん(右から2人目)も「歌声列車」に参加した
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2011/05/30/jpeg/G20110530000920850_view.jpg