☆悪臭の中で廃棄格闘 石巻の水産加工団地、魚介類を処理☆
宮城県石巻市魚町の水産加工団地で、冷凍庫に入っていた魚介類の廃棄作業が続
いている。在庫の処分が終わらなければ、東日本大震災で被災した機器類の点検や
復旧作業もままならない。猛烈な悪臭が漂う中、加工会社の社員らが連日、大量の
廃棄物と格闘している。
26日午前8時すぎ、石巻漁港西側の岸壁。トラックが次々と乗り付け、魚介類を降ろ
していく。サバやサンマ、イカ…。どろどろに溶けているものも多く、強烈な腐敗臭が
鼻を突く。カモメが飛び交う中、大勢の男女が手作業でビニール袋や段ボールを取り
除いていく。
処理が始まったのは4月11日。搬出作業の実務は水産会社などでつくる「石巻水産
復興会議」が担う。運搬船に乗せて約100キロ沖の洋上に投棄し、海に捨てられない
レトルトなどは山形県で埋め立て処分している。
廃棄作業には、1日に220〜230人が従事している。男性作業員(50)は勤めていた
工場が被災し、解雇された。「臭いが染みつき、家に帰っても『臭い』と言われる。ガス
が復旧するまで風呂に入れなかったのはきつかった」と苦笑する。
市内に115カ所あった冷凍庫は、石巻魚市場の背後地や渡波地区など海岸沿いに立
地し、ほとんどが津波の直撃を受けた。がれきで搬出口が確保できなかったり、荷崩れ
している場所もあったりして、作業には危険も伴う。
1日の処理量は800〜1000トン。85カ所で処理を終え、3万トン近くを廃棄した。復興
会議作業部会の小池幾世副部会長(55)は「在庫処分が復興への一歩だ。困難な作業
に皆で取り組むことで、再建に欠かせない団結力が生まれるのではないか」と話す。
作業は6月中旬まで続き、最終的な廃棄量は4万6000トンに上る見通し。復興会議では、
廃棄した在庫に対し政府が出す補償金で基金を創設し、加工団地再建までの資金繰り
に活用するアイデアも検討されている。
[2011年05月27日]
▽ソース:河北新報
http://www.kahoku.co.jp/news/2011/05/20110527t12005.htm ▽画像:猛烈な腐敗臭が漂う中、魚介類の廃棄作業が続く=26日午前8時20分ごろ、石巻市魚町1丁目の石巻漁港
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2011/20110526019jd.jpg