【IT】ネットメディアは世界を変えるか 「逆パノプティコン社会の到来」
米外交公電の大量公開で注目を浴びた「ウィキリークス」。アラブ諸国に広がった
ジャスミン革命で民衆を結んだ「ツイッター」「フェイスブック」など、ユーザー自ら
発信者となるソーシャルメディア。インターネットを舞台とした市民による
情報共有の動きが今、世界を揺るがしている。
慶大大学院政策・メディア研究科のジョン・キム准教授の「逆パノプティコン社会の到来」
(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、現在進行中の国家と民衆の力関係の変化を魅力的な
イメージと共に読み解いたタイムリーな著作だ。
情報通信政策、メディア社会論が専門のキムさんは昨年秋に客員研究者として
米ハーバード大学に招かれ、ウィキリークスの一連の公電暴露とソーシャルメディアによる
市民運動の勃興の影響について、現地の著名研究者らと日々語り合った。
甘いマスクで人気のキムさんは、解説者として出演したニュース番組でツイッターを
「流しそうめんのようなもの。流れてくる(情報の)すべてを『食べる』必要はない」と
説明するなど、卓抜な比喩で新しい現象を読み解く達人でもある。
今回も「直観的にわかってもらえるよう『逆パノプティコン』というイメージを打ち出した」という。
---以下、文字数制限に省略---
【朝日新聞】
http://www.asahi.com/digital/internet/TKY201105230094.html
2 :
ひみつの検閲さん:2024/12/04(水) 07:17:29 ID:MarkedRes
3 :
名前をあたえないでください:2011/05/24(火) 18:46:01.84 ID:tPETkwCo
パルプンテ
4 :
名前をあたえないでください:2011/05/24(火) 18:56:39.65 ID:76ElE2x4
ネットのお陰で核武装する必要もなくなった
5 :
名前をあたえないでください:2011/05/24(火) 19:06:25.18 ID:sMDSsEL8
意図的な潮流であれば、むしろ
言論を監視・誘導するパノプティコン社会の到来ではないか
6 :
名前をあたえないでください:2011/05/24(火) 22:56:49.83 ID:J34btP/6
●監視者が監視される時代
「パノプティコン」(一望監視施設)とは、18世紀にイギリスの思想家ジェレミー・ベンサムが発案した監獄のモデル。
20世紀フランスの思想家ミシェル・フーコーが名著「監獄の誕生」で権力が民衆を支配する仕組みの象徴として紹介した=図。
asahi.com(朝日新聞社): フォトギャラリー - デジタル - パノプティコン(一望監視施設)のイメージ(同書より)
http://www.asahi.com/digital/internet/images/TKY201105230104.jpg 円環状の建物の中央に塔を配置し、円形に並んだ独房に閉じ込められた囚人らを監視する構造だ。
監視者の姿は見えないように設計され、囚人らはたとえ塔が実際には無人であっても
常に監視されている可能性を感じつつ生活することになる。
見えない監視が内面から被監視者自身を縛る構図を、フーコーは近代社会の工場・学校など規格化された社会装置全体になぞらえて論じた。
「逆パノプティコン社会の到来」でキムさんは、ネットを舞台に現在起きている事態をパノプティコンの正反対、
つまり民衆が権力を不断に監視する構図としてとらえ、各ネットメディアが政治権力にあらがいながら
情報を公開・共有して支持を集めた様子を順を追って解説した。
「(パノプティコンの)塔にいるのは政府ではなく市民」とキムさんは書いたが、
あるいは監視者のいる中央の塔がガラス張りになってしまった状況、と見立てることも可能かもしれない。
「誰に『見られて』いるかは政府自身もわからないのです」
支配側にとっては悪夢とも言うべきウィキリークスの機密文書暴露による情報の「完全透明化」と、
フェイスブックなどのソーシャルメディアで見知らぬ同士がつながり加速度的に広まる
「ゲリラ的市民運動」をキムさんは支持し、「もはや誰もこの流れを止めることはできない」と語る。
だが、革命で樹立された政体が民主的で世界平和をもたらすものになるか、キムさんは決して楽観はしない。
また「中国はいまだにパノプティコン社会。一挙手一投足を監視する側が統制の手段としてネットを使いこなしている」。
大量の情報を一元管理できるネットワークは、抑圧の道具としても機能することを指摘する。
それでも「ネットに端を発したこれらの動きは、より透明な政治活動を行うことへのインセンティブとして機能するのでは」と期待する。
●日本でも「逆パノプティコン」
同書でキムさんはウィキリークスの活動に連携した欧米ジャーナリズムの役割を重視し、
「情報を分析、検証、説明する能力を有するマスメディアの価値はさらに高まる」と指摘した。
日本では今月、朝日新聞がウィキリークスから情報提供を受けて日米外交の裏面を公開する報道を始めた。
「組織への忠誠度が高く内部告発を『裏切り』とみなす傾向の強い日本で、
朝日がウィキリークスと共同キャンペーンを始めたことは興味深い。
日米関係が国民生活にどう影響するか、文脈化・ストーリー化する力が期待されている」とキムさんは言う。
アラブで革命を後押ししたソーシャルメディアは東日本大震災でも活躍。
大量の情報が交錯する中でデマも流布された半面、当局も把握できていない現場の状況を
いち早く伝えてマスメディアが後追いするようなケースがしばしば見受けられた。
キムさんは「誤った情報に惑わされないよう受け手の情報リテラシーをさらに高める必要はあるが、
閉塞(へいそく)した社会状況に風穴を開けるメスとして市民権を得つつある」とみる。
キムさんは次作として10年後の日本の国家ビジョンを語った単著、そして共著で「レゴブロック社会論」を用意中という。
正解に早く到達することのみ良しとした価値観から多様性を認める社会への移行を促す内容、らしい。
世直しを呼びかけるどんな「イメージ」を見せてくれるか楽しみだ。
asahi.com(朝日新聞社): フォトギャラリー - 「逆パノプティコン社会の到来」を書いたジョン・キム慶応義塾大学大学院准教授。「情報透明化の動きは日本社会でも加速していくだろう」と話す=東京・慶大三田キャンパス
http://www.asahi.com/digital/internet/images/TKY201105230115.jpg