高知県内の大学に通う同性愛者らの女性4人が、性に関するあらゆることについてまとめた冊子を作成した。
4人はみな「自分の性指向と、社会から押しつけられた性について、悩みや葛藤を抱えていた」という経験があることから、
冊子には「性に悩む人たちの手助けをしたい」「性について考えるきっかけを持ってほしい」などという願いが込められている。
冊子は希望者に無料配布するほか、将来的には教育機関などに設置することを目指す。
作成者の一人である高知市在住のイリエさん(仮名、20代)は、性的欲求のないノン・セクシュアル(非性愛者)。
高校時代に友人女性から告白され、それを受け入れたが、抱き合ったりキスをしたりすることができなかった。
「なぜ女性を好きになったのか」「好きなのに、なぜ愛情表現ができないのか」。
周囲に相談しても「思春期だから」と軽く流され、悩む日々が続いた。
イリエさんは当時を「何とか普通のふりをしようと必死にもがいた」と振り返る。
大学入学後、知り合った友人が同性愛者であることを知り、
その友人と話す中で、自分が非性愛者であることを知った。
同時に「教育機関に、性に関するいろいろな情報があれば、自分ももっと楽に悩めたかもしれない」
という思いを抱き、その思いに共感した友人と、今年に入り冊子の作成を決めた。
「ジェンダー」と名付けられた冊子には、男性と女性について
「ふつうって何?」という疑問が投げかけられているほか、
高知に住むさまざまな性指向の学生たちによる対談も企画されている。
今春に作成し、教育機関などに設置してもらうため交渉を試みたが、
「子どもが混乱するのでやめてほしい」などと断られた。
イリエさんらは「メンバーにはセクシュアル・マイノリティー(性的少数者)が含まれてはいるが、私たちを理解してほしいという活動ではない。同性愛者も異性愛者も関係なく、性や恋愛について深く考えるきっかけになれば」と話している。
冊子は、メールで希望する人にも送付する。
http://mainichi.jp/area/kochi/news/20110514ddlk39040661000c.html