東日本大震災の津波で被害を受けた岩手、宮城、福島3県の沿岸部で、避難所からの救急
搬送が少なくとも2816人に上ることが17日、各消防本部への取材で分かった。心労や衛生
状態の悪化などから避難所以外でも体調を崩す人が多いとみられ、全体の救急搬送が昨年
同時期の倍以上という消防もある。被災地では住民の健康管理が課題として浮き彫りになって
いる。
3県沿岸部にある15の消防本部に取材した。4月末までのデータしかない消防が多く、2消
防本部は未集計。実数はさらに多いとみられる。
避難所からの救急搬送が最も多かったのは、宮城県の石巻地区広域行政事務組合で、管内
の石巻市と東松島市、女川町で計871人。仙台市消防本部は299人、塩釜地区消防事務組合
も248人と多かった。
岩手県では、宮古市と山田町、岩泉町、田野畑村を管轄する宮古地区広域行政組合が298人
と最多。大船渡地区消防組合と陸前高田市は集計をまとめておらず、福島県で最も多かったのは、
いわき市消防本部の149人だった。
宮城県気仙沼市と南三陸町を管轄する気仙沼・本吉地域広域行政事務組合によると、避難所
以外も含めた4月の救急搬送数は466人で、昨年4月の230人と比べると倍以上だった。震災の
翌月になっても心労などから体調を崩す人が多いとみられる。
多くの消防は昨年4月との比較をまとめていないが、宮城県石巻市の石巻赤十字病院でも、4月
の急患数が倍以上になった。同病院によると、通常の急患は月1800人程度だが、4月は4084人
だったという。
石巻赤十字病院の阿部雅昭企画調整課長は、被災地の救急搬送が増えていることについて「スト
レスの多い避難所生活が長引いていることや、衛生状態の悪い被災家屋に住む被災者が多いことが
原因。一刻も早い仮設住宅の完成が必要」としている。
ソース 西日本新聞 2011年5月17日
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/242447