☆iPS細胞 米で拒絶反応確認☆
[5月14日 14時1分]
体のあらゆる組織になるとされるiPS細胞は、再生医療への応用が期待されています
が、元の体に移植したときに拒絶反応を起こすおそれのあることが、アメリカの研究チ
ームが行ったマウスの実験で明らかになりました。
カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームは、体のあらゆる組織になるとされる
iPS細胞をマウスの皮膚から作り、遺伝情報が同じの別のマウスに移植する実験を行
いました。その結果、iPS細胞に由来するさまざまな種類の細胞の塊が出来なかったり
、塊の一部が壊死したりする割合が20%に上ったということです。細胞の塊では、いく
つかの遺伝子が過剰に働いていたことから、免疫によって拒絶反応が起きたとみられる
としています。
この実験結果は、iPS細胞を元の体に移植したときに、拒絶反応を起こすおそれのある
ことを示すもので、研究チームでは「iPS細胞を実際の治療に応用する前に、どの細胞
が拒絶反応を引き起こすかなど、詳しく調べるべきだ」としています。この成果は、14日
発行のイギリスの科学雑誌「ネイチャー」の電子版に発表されました。
iPS細胞に詳しい国立成育医療研究センターの阿久津英憲室長は「iPS細胞によって拒
絶反応が起きたという報告はこれまでになく、驚きだ。今回の実験は、iPS細胞そのもの
で行われているが、iPS細胞を基にした体の細胞でも拒絶反応が出るのかどうか、また、
拒絶反応が出ないiPS細胞を選択する方法などについて、検証を行う必要がある」と話し
ています。iPS細胞の治療への応用に向けた研究を続ける、慶応大学の岡野栄之教授
は「iPS細胞から作った神経細胞をマウスに移植する研究を行っているが、拒絶反応は
起きていない。iPS細胞から体の細胞に変わりきれていない細胞は、がんになりやすい
が、こうした細胞が拒絶反応で排除されるとすれば、治療への応用のうえではむしろいい
ことではないか」と話しています。
▽ソース:NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110514/k10015889521000.html