☆公立中高一貫校にも「学力検査」? 中教審が見直し論議☆
[2011.5.9 10:00]
1999(平成11)年度に中高一貫教育校が制度化されてから、10年以上が経ちました。
中央教育審議会(中教審)では、主に公立校を対象にした見直しの検討が進められてい
ます。高校の授業料無償化で、6年一貫の教育を受けられる公立中高一貫教育校の人
気は、年々高まっています。中教審の論議で今後、どう変わっていくのでしょうか。
中教審に提出された文科省の調査結果を見ると、創造性や自主性を重んじた個性豊か
な子どもの育成などの理念は、ほぼ具体化されていると評価されています。一方、▽高
校入試がないことによる「中だるみ」現象が起きている▽6年間のうちに、生徒間の学力や
学習意欲の格差が拡大する▽教育課程の特例が少ない……などが、課題として挙げら
れています。
このうち、学力格差の拡大については、現在、中学校段階の入学選抜で「学力検査」を禁
止していることが入学後の学力格差につながっているという指摘を受けて、中学校段階の
入試に「学力検査」を導入することが検討課題の一つとなっています。現在、中学校段階
の入試としては、思考力や創造性などを見る「適性検査」が実施されています。もし「学力
検査」が解禁されることになれば、公立中高一貫教育校の入試も大きく変わることになる
でしょう。
一方、教育課程の問題では、6年一貫のメリットが現行制度では十分に生かされていない
として、公立中高一貫教育校に対する学習指導要領の特例措置を拡大することも課題に
なっています。
また、経済的事情などで私立中高一貫校に進学できない子どものために、公立中高一貫
教育校をさらに拡大すべきだという意見も出されています。ただ、これについては他の中教
審委員から、一般の中学校が大きな打撃を受けること、学習塾通いで逆に保護者の教育
費負担が増えることなどを考慮すべきだという意見も、併せて出されています。
こうした論議の背景には、公立中高一貫教育に対する社会の受け止め方の変化があるこ
とは、間違いないでしょう。
それまで私立のみだった中高一貫教育が公立学校に導入された1999(平成11)年当時
は、「公立学校にエリート教育を持ち込むものだ」という批判の声が強く、そのため中学校段
階の「学力検査」が禁止されたほか、学力向上よりも環境教育など特色ある教育に力を置い
た教育課程の編成が奨励されるなど、エリート教育校化しないよう歯止めが掛けられました。
しかし東京都が、社会のリーダーとなる生徒の育成を掲げて中高一貫教育校を設置し始め
たころから、社会の状況も、公立中高一貫教育校に対する見方も、大きく変わってきました。
中教審で行われている論議も、古い時代に構想された公立中高一貫教育の制度を、現在の
社会状況に合ったものに変更していこうというのが狙いだと言えそうです。
▽ソース:MSN産経
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110509/edc11050922240002-n1.htm