私の住んでいる場所は、津波の危険にさらされているのか――その答えの目安となるのが
「ハザードマップ」だ。津波が来る可能性がある範囲を示す地図で、県内でも日本海に
面する大半の自治体が作成し、住民に配布している。
県内自治体のハザードマップの基となっているのが、県が2007年3月につくった津波
浸水想定図。津波の高さは佐渡、村上両市が最大約7メートル、上越、柏崎両市で
約6メートルとされている。
しかし、3月11日に太平洋岸を襲った巨大津波は、県の想定図への「信頼感」も揺るがせた。
「3地震の津波に関して、見直しの必要性を検証する。年度内にとりまとめができるように
進めたい」
4月28日、泉田裕彦知事は記者会見で、こう表明した。知事のいう「3地震」は、津波
浸水想定図で示した被害を引き起こす原因となる地震で、(1)佐渡北方沖を震源と
するマグニチュード(M)7・8の地震(2)県南西沖を震源とするM7・7の地震(3)粟島付近を
震源とするM7・5の地震、の3タイプ。県はこれらが別々に起きた場合、どれだけの高さの
津波が起きるのかを計算し、それぞれの地点で最も高い数値を地図に示した。
「佐渡北方沖地震」について、将来起こる地震を予測する政府の地震調査研究推進
本部は「平均発生間隔は500〜1千年、今後10年以内に起きる可能性は1〜2%」
との調査結果を発表していた。
ところが、同本部は4月11日に、この調査を見直す方針を明らかにした。東日本大震災
では、三陸沖から房総沖にかけて予測した八つの地震のうち、六つの震源域が一度に
動いてしまうという「想定外」の事態が起きたためだ。
ただ、太平洋側の地震の見直しを優先するため、佐渡北方沖についての見直し作業が
いつになるかは決まっていない。
佐渡西方から糸魚川市の沖合にかけての断層が動くと想定した「県南西沖地震」と、
1964年の新潟地震(M7・5)と同程度と想定した「粟島付近の地震」は、県が
1998年3月にまとめた「地震被害想定調査報告書」に盛り込まれている。
大学教授らが2年以上の期間をかけて、過去の地震を掘り起こし、地形や地質の
データを調べたうえで、設定した地震だが、この報告書も、複数の地震が連動して起こる
ことは想定していない。
県は「地震の連動」を重点的に検証する方針で、泉田知事は「想定地震の検証を
踏まえた上での津波対策を行いたい」と話す。
ただ、今後の議論の進め方については、決めあぐねているのが現状だ。防災企画課の
担当者は「国と関係なく議論を始めて、後からやり直しが出ないようにしないといけない。
でも、国の議論を待っていては間に合わない」と悩ましそうに語った。(大内奏)
朝日新聞(asahi.com)
http://mytown.asahi.com/niigata/news.php?k_id=16000661105110001