久保田が打たれたから言うわけではない。ビジターゲームで藤川球児の投入はあくまで勝ち越してから、というチーム方針を貫くのも分かる。
ただ、ビジターで終盤、同点のケースで最初から守護神を投入せずに結果、3度も続けてサヨナラ負けを喫しては…。阪神・真弓明信監督、そこんところ、どうなんでしょう。
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最悪の幕切れだった。同点の九回、4番手で登板した久保田が1死から吉村に7球目の真っすぐをとらえられた。打球は逆風をものともせず、スタンドイン。
痛恨のサヨナラ被弾となった右腕は「そんなに悪くはなかったと思うけど。結果ですから…」と肩を落とした。
先発のスタンリッジが序盤に2失点しながら、その後は粘りの投球で立ち直った。打線も終盤にようやく奮起。
七、八回に1点ずつを返して追いつき、流れは阪神に傾いていたはずだった。だが、またも勝利の女神は微笑んでくれなかった。
これが早くも今季3度目のサヨナラ負け。しかも、いずれも同点の九回、もしくは十回のアタマから守護神・藤川を投入していない。
その点について問われた久保投手コーチは「だから、ビジター(の試合)は抑えはポンポンつぎ込めないの!」と、いら立ちを隠しきれなかった。
もちろん、同点で敵地でのゲーム終盤を迎えた場合、延長戦を見据えてクローザーを温存するのもセオリーの一つ。
表の攻撃でリードすれば、その裏を抑える重要な役割が残るからだ。
ただ、今季は節電対策の一環で3時間30分ルールを適用。この日も、時間的には延長に突入したとしても最長で十回までだったはずだ。
あと2イニングをどう抑えるか。それを考えれば、相手が5番からの打順で本塁打を警戒すべき九回のアタマから、球児投入という選択肢も十分にありうる。
久保コーチ自身も球児温存について「負けたらベストじゃないかもね」と話す。
最下位・横浜にまさかの同一カード3連戦3連敗。横浜に3タテを食らうのは、08年8月以来の屈辱だ。真弓監督は
「向こうの方が勢いがある。そういう勢いを止めていかないと」
と振り返ったが、ベンチがなかなか効果的な手を打ち切れていないのが実情だ。
前々日は金本、この日は城島を完全休養させた攻撃陣は「辛抱するしかない」(和田打撃コーチ)と、打線組み替えなどは時期尚早との見解。
劇的な得点力アップが見込めないとなれば、少ないリードを守り切って勝つしかない。借金3の現状打破へ、指揮官の決断が求められている。
http://www.daily.co.jp/baseball/2011/05/09/0004045625.shtml