☆2億4千万年前の宇宙塵回収 津久見網代島☆
津久見市日代(ひしろ)にある網代(あじろ)島の地層を調べていた鹿児島大学大学院理
工学研究科の尾上(おのうえ)哲治助教(地質学)ら同大学と東北大学などのグループが、
2億4千万年前の宇宙塵(じん)を大量に回収することに成功した。
尾上助教によると、岩石からの回収方法を工夫、これまで発表された事例としては最も古
いという。米科学誌ジオロジーの電子版で4日、発表した。
網代島は海洋プランクトンが堆積した「チャート」という岩石でできた小島。尾上助教は、同
島のチャートは海底で形成されたため堆積速度が遅く、宇宙から地上に降ってくる微粒子
「宇宙塵」が高密度で含まれると推測。
5年前から十数度にわたって現地を訪れる一方、米国の大学に留学するなどして研究を進
めてきた。知人も増え、講演会などを通じた地元・市民との交流が続いている。
研究の最大のポイントは、硬いチャートから直径0・2ミリ以下の微小な宇宙物質を回収する
方法。これまでは南極の氷や深海堆積物など軟らかなものからの回収が中心だったが、岩
石を適度に粉砕し、鉄などを含む物質を磁力で選別することで、既に260個の宇宙塵を回
収した。
小惑星探査機「はやぶさ」が持ち帰った微粒子の分析にも携わった東北大メンバーにより、鉄
とニッケルを内部に含むものや、隕石(いんせき)に近い組成のものがあることなどが明らか
になり、いずれも組成からみて地球外起源であることが確認された。
同助教によると、これまで正式に研究発表された事例では、オーストリアで1億8千万年前の
地層から回収されているが、今回はこれをさかのぼり、保存状態も良いという。
尾上助教は「同様の手法を使って、世界各地で他の時代のチャートからも宇宙塵を回収する
ことで、太古に降った宇宙物質の特徴や歴史、太陽系内における個体微粒子の分布、移動、
起源などを探ることが可能になる」としている。
[2011/05/07]
▽ソース:大分合同新聞
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2011_130473030751.html ▽画像:津久見市日代にある網代島
http://www.oita-press.co.jp/mobile/data/local_news/2011/05/2011_130473030319.jpg