にぎわい遠いGW ひたちなか・大洗エリア原発風評、津波被害響く
■イベント、値下げ誘客に懸命
大型連休で例年なら県外からの観光客でにぎわう、ひたちなか・大洗エリアの行楽地が、
今年は苦戦を強いられている。東日本大震災による津波や福島第一原発放射能漏れ事
故への不安から、観光客が海岸地域を敬遠しているとみられるためだ。各施設ではサー
ビスの充実や料金の値下げなどで誘客活動を展開している。
例年多くの潮干狩り客でにぎわう大洗サンビーチ(大洗町)。今年は好天に恵まれた4日も
波打ち際に家族連れの姿はまばらだった。毎年潮干狩りに訪れる水戸市千波町、主婦上原
しのぶさん(28)は、「津波が怖い」と言う長男(4)の言葉にためらいつつ活性化のためにと
訪れた。「人出は例年の半分もない。この時期には海の家も建ち始めていたのに、今年は1
軒もなくて不安になる」と話した。
近くで民宿「大勘荘」を経営する小野瀬和助さん(47)は「連休中の客入りは10%にも満たな
い。いつもなら満室なのに閑古鳥が鳴いている」と頭を抱える。付近の民宿は、相次ぐ予約の
キャンセルを受けて宿泊料金を1000〜2000円ほど安くするなどして打開策を探っている。
アクアワールド県大洗水族館(大洗町)も、昨年4月29日〜5月5日の来館者約6万4000人
に対し、今年は4月29日から5月4日までの来館者が2万5849人。連休中のイベントを充実
させ、8日まで中学生以下の入館料を無料とするが、他県からの来館者は伸び悩む。
大型連休後にシーズンを迎える学校遠足も「津波があった町や、福島の近くに行くのは問題」
などとして予約のほとんどが取り消された。2002年の開館以来記録してきた来館者数100万
人超も「このままだと難しく、採算が取れるか危うい状態」(同館経営企画課)という。稲葉暢弘
副館長は「飼育員が積極的に来館者に話しかけるなどサービスを充実させ、また来たいと思え
る水族館になりたい」と奮起している。
丘一面を青色に染めるネモフィラや、チューリップが見頃を迎えた国営ひたち海浜公園(ひたち
なか市)。4月29日から5月3日までの来園者数は約4万8000人と、前年同期の約4分の1で、
例年は過半数を占める県外からの来園者は4割程度。昨年の連休中に1000件を数えた同園
ツアーも今年は28件という。広報担当者は「天候不順もあるが、一番の原因は風評被害。福島
が近いため『大丈夫ですか』との問い合わせが多い。何とか足を運んでもらえるようなイベントな
どを企画したい」と意気込んでいる。
(2011年5月5日)
▽ソース:読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ibaraki/news/20110504-OYT8T00718.htm ▽画像:好天にもかかわらず、例年の大型連休に比べ閑散とした大洗サンビーチ(4日午後1時14分)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20110504-771418-1-L.jpg