☆63年前の福井地震の余震、今も 鯖江の京都大観測所研究☆
福井県鯖江市下新庄町の山あいに、京都大職員が常駐して北陸地方の地震活動を調
べる研究施設・京都大防災研究所北陸観測所がある。山中のトンネル内にある高感度
の地震計は、体に感じない地震をほぼ毎日記録。東日本大震災で地震への関心が高
まる中、県内各地のデータを分析して将来の地震予測に向けた研究を行っている。
震源地の特定などのため、全国には約1千カ所の地震観測点がある。県内には約10カ
所あり、このうち4カ所は京都大防災研究所の施設。拠点施設となる鯖江市の北陸観測
所は、山中のトンネルを活用して高感度の地震計を設置。体には感じないマグニチュード
(M)3以下の微小地震を中心に観測し、震源地の分析などを進めている。
同研究所地震予知研究センターの西上欽也教授(54)は「微小地震は活断層に沿って分
布すると分かっており、微小地震の解析で活断層の構造などが分かる。将来の地震発生
予測につなげたい」と施設の意義を語る。
同観測所には京都大の職員1人が常駐しデータを分析、震源地の分布図などを作っている。
主な研究課題には、1948年の福井地震(M7・1)の震源となった「福井地震断層」の微小
地震の調査があり、福井市から石川・加賀方面にかけ南北30キロに延びる同断層周辺では、
今も体に感じない余震が週に数回は続いているという。
「地震観測にはノイズ(人工的な震動など)がないのが望ましい」との理由から、戦時中海軍の
地下工場として使われていたという下新庄町のトンネルが地震計の設置場所に選ばれた。道
路や鉄道から離れ、気象の影響も受けにくい利点がある。
山際にある観測所横の扉を開けると、碁盤の目のように掘られた総延長460メートルのトンネ
ルが始まる。入り口から50メートルほど進んだ位置にあるのが約50平方メートルの空間。高
感度地震計などさまざまな機器がコンクリートの土台にしっかりと固定されている。
この地震計を含めた各地の観測点では3月11日の巨大地震の影響で、同日午後7時9分には
石川県と勝山市の県境付近でM4・1の地震を計測。周辺を中心に県内では24時間で300回
ほどの体に感じない余震を記録したという。しかし4月下旬には1日に1、2回程度にまで減り、
地震前と変わらないレベルに落ち着いてきた。
東日本大震災を受けて同観測所は今後、北陸地方でどんな影響があったのか詳しく調べる予
定。西上教授は「できる限り研究成果を発信し県民の防災意識向上に役立てたい」と話している。
(2011年5月3日午前7時55分)
▽ソース:福井新聞
http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/society/27901.html ▽画像:余計な振動を感知しないよう、静かなトンネル内に設置された高感度地震計=2日、福井県鯖江市下新庄町の京都大防災研究所北陸観測所
http://www.fukuishimbun.co.jp/modules/news0/photos/20110503080813_2079107662.jpg