☆東日本大震災:学校調理施設被災の県内8市町、完全給食は来月以降/宮城☆
■パン・牛乳だけ、成長に影響懸念
東日本大震災の被災地で学校が再開される中、給食の実施が課題となっている。県で
は被災35市町村のうち8市町が、県の調査に対し、完全給食の再開は6月以降または
未定とした。岩手、福島両県でもパンと牛乳だけの簡易給食で済ませたり、授業を午前
のみとしている地域がある。授業の進行だけでなく、子供たちの栄養バランスも懸念され
る状態だ。
文部科学省は、ご飯かパンの主食、おかず、牛乳がそろった給食を「完全給食」、おかず
と牛乳のみを「補食給食」、パンなど主食と牛乳のみを「簡易給食」と定めている。
宮城県では震災後、約半数の小中学校で、調理をしないで済む簡易給食を出したり、午
前中で児童・生徒を帰宅させるなどの対応を取っている。同県などが4月下旬に行った調
査では、27市町村は給食センターや学校の調理室が復旧したり他市町のセンターから提
供を受けるめどがつき、5月中に完全給食か補食給食を提供できると回答があった。一方、
甚大な津波被害を受けた南三陸町や女川町など8市町は「施設が流された」「修繕が必要
で衛生管理できない」などと回答。近く再開する見通しが立っていない状況を明かした。
岩手県でも、被災した沿岸13市町村のうち3市町で今も、給食が実施できていない。このう
ち、釜石市は簡易給食で対応、陸前高田市は、仕出し弁当が給食代わりだ。
3市町のうち、元々が弁当持参だった同県山田町は深刻。全11小中学校中6校で午前限定
授業となっている。また、1校では校内で行われている炊き出しを「おすそ分け」してもらって
いる。
福島県でも、地域によって「給食格差」が出ている。午前限定授業が続いていた、いわき市で
は、4月25日から小中学校計121校でパン1個と牛乳の提供を始めた。中学校12校では生
徒の弁当持参などで対応している。
文科省が定める学校給食摂取基準は、小学校中学年が1食当たり660キロカロリー、中学生
が850キロカロリー。現行の簡易給食では小学校中学年で基準の約7割、中学生で約半分し
か摂取できていない。宮城県スポーツ健康課によると「おかずが出ないことで、野菜や果物に
含まれるビタミンCが不足している」という。
給食を出せずに午前授業で対応している学校には、学校教育法で定められた授業時間が確
保できなくなる焦りもある。給食が出せずに午前限定授業を余儀なくされていた七ケ浜町は「こ
のままでは授業数が限られ、部活動もできない」と近隣市町の協力を受け、5月上旬から完全
給食再開のめどを付けた。
被災地で子供らの支援活動をする日本ユニセフ協会サポートスタッフの小児科医、西澤和子さ
んは「普段の食事の質を保つことが難しい被災地だからこそ、栄養バランスの整った学校給食が
重要な役割を果たす。パンと牛乳だけの給食が長引けば成長や発育に影響する懸念もある。早く
改善してほしい」と話している。
[2011/05/02]
▽ソース:毎日新聞
http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20110502ddlk04040068000c.html