☆福島第1原発:野球できる幸せ実感 新潟に避難の高1☆
福島第1原発事故を受け、福島県大熊町から新潟県柏崎市に避難してきた球児が29日
柏崎市内で行われた北信越地区高校野球新潟県大会に出場を果たした。県立柏崎常盤
高1年の櫛引太陽(くしびき・たいよう)さん(15)。適時打を放つ活躍を見せ、「楽しかった」
と野球をできる幸せをかみ締めた。
この日、柏崎常盤高は柏崎総合高と初戦を行った。櫛引さんは6番中堅手で先発出場。2
点目の右前適時打を放ち、チームは4−3で接戦を制した。球場でプレーしたのは昨年8月
以来だった。
大震災当日。長く大きな揺れで福島県大熊町にある自宅は傾き、壁にもひびが入った。追い
打ちをかけるように原発事故が発生。自宅は10キロ圏内にあり、町の指示で着の身着のまま
で自宅を出た。4日間の避難所生活の後、父渉さん(48)の単身赴任先、柏崎市に家族ととも
に移った。
野球を始めたのは小学4年の時。地元の大熊中で野球部の一塁手として活躍し、3年の時に
は県大会を制した。今春からはスポーツ推薦で甲子園に過去3度出場の伝統校、双葉高校へ
進学することが決まっていた。
仲間とともに「甲子園を目指そう」と硬式ボールの自主練に励んでいた時、震災に襲われた。
避難所生活で古傷の腰痛が再発。「もう野球はできないかもしれない」。双葉高への進学もか
なわなくなり、高校では陸上部で体作りでもしようかと思った。
気落ちする櫛引さんを渉さんが励ました。「野球が好きなら野球をすればいい」。気持ちを入れ
替えて入学した柏崎常盤高。迷わず野球部に入り、温かく受け入れてくれた先輩や同級生ら
とグラウンドで白球を追った。
柏崎常盤に甲子園出場経験はなく、ここ数年は2〜3回戦で敗退している。櫛引さんは新しい
目標を見つけた。
「この学校で甲子園を目指し、かつて甲子園出場を誓い合った中学時代の野球部仲間と対戦し
たい」
[2011/04/29]
▽ソース:毎日新聞
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/20110430k0000m040039000c.html ▽画像:グラウンドを駆け回った櫛引太陽さん
http://mainichi.jp/enta/sports/baseball/news/images/20110430k0000m050047000p_size5.jpg