東日本大震災に伴う電力の供給不足に対応するため、建設業界各社が節電対策に
乗り出している。
すでに照明、空調、昇降機、給湯器などの停止・間引き運転を行っており、電力需要が
増える今夏を見据えて、夏の軽装化(クールビズ)の前倒し・期間延長、休暇・労働時間
の柔軟な運用なども検討する社が増加。
ゼネコンでは「できることから取り組む」(大林組)として、トンネル施工現場で仮設照明の
省エネ化を進めるなど、工事現場の節電をめぐる対応・検討も本格化している。
建設業界では、震災以降、各社が独自に節電を実施中。空調システムの機能を駆使
することで、関係法令に定められている範囲内で室内温度を調整している社が多い。
清水建設は、社員にも協力を求め、通常6月から始めている衣服の軽装化(クールビズ)
を5月の大型連休明けから実施する方向で調整中だ。
就業曜日・時間の変更に前向きに取り組む方向で検討を進めている社もある。
工事現場については、工期の厳守や近隣への影響を考慮する必要があるため、
現状では多くの社が対応を検討中。今のところ、太陽光・風力発電の積極的な利用、
蓄電設備の積極的な採用、早朝や休日利用による使用電力の分散化などが浮上して
いる。一方、電力消費量が拡大した際には、「大型現場ほど対応が避けられなくなる」
(準大手ゼネコン)として、節電の影響を懸念する社も出始めている。
設備、住設、資機材メーカーでは、TOTOが工場を含めてグループ全体で節電対策に
乗り出す考えを表明するなど、生産活動でも節電に協力する動きがある。
住生活グループは「あらゆる方策を講じる」として、生産地や品目、生産時間などを調整
する予定だ。
政府は、東京電力の福島第1原発事故などで今夏に電力の供給不足が懸念されるため、
日本経団連に対し、工場やオフィスをはじめとする大口需要者に最大消費電力を25%削減
するよう要請。
それを踏まえ、経団連は主要業界に協力を求めており、一部の社は20日までに具体的な
対応内容を報告している。
日刊建設工業新聞
http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201104210407001