大阪地検特捜部の押収資料改竄(かいざん)事件で、証拠隠滅罪に問われた元主任検事、
前田恒彦被告(43)に12日、大阪地裁が下した懲役1年6月の判決。検察官が捜査の
見立てに合うように証拠を改竄するという異例の犯罪に手を染めた前田被告に対し、地裁は
厳しく断罪し、実刑判決を言い渡した。
ただ、改竄後の上司による隠蔽(いんぺい)については一切言及しなかった。今秋にも始まる犯人
隠避事件の公判への影響に配慮したとみられる。
■元特捜部長ら公判へ準備
故意の改竄と知りながら隠蔽を図ったとする犯人隠避罪で起訴された元特捜部長、大坪弘道被告
(57)と元副部長、佐賀元明被告(50)は「前田被告から誤って証拠品を書き換えたと報告された」
と無罪を主張。公判では、当時の検事正や同僚検事らが証人となる波乱含みの攻防が予想されている。
わずか2回の審理を通じて、前田被告は改竄に手を染めた動機について、郵便不正事件の構図と
整合しない証拠があれば公判が紛糾し、上司だった大坪被告から叱責されると恐れた−などと説明。
発覚後、隠蔽指示に従ったことまで上司に責任を転嫁するような供述を繰り広げた。
大坪被告らの公判を有利に進めたい検察(最高検)側と、情状酌量を求める弁護側の思惑が一致し、
素早い幕引きを図ったとする見方も根強い。郵便不正事件や今回の捜査・公判を取材してきた
ジャーナリストの江川紹子さんは「茶番劇と言うほかない」と切って捨てた。今回の判決について、大坪、
佐賀両被告の弁護団の一人は「裁判長が犯人隠避事件に言及しなかったのは一つの見識かと思う」と
話した。
関係者によると、大坪被告は「前田被告は言い訳ばかり。『右腕』として重用したのは間違いだった」と
周囲に語り、月数回の弁護団会議に出席するなど公判準備に余念がない。佐賀被告もほとんど
外出せずに裁判資料を熟読し、公判に向けて静かに闘志を燃やしているという。
2011年04月12日13時22分
提供:産経新聞
http://news.livedoor.com/article/detail/5484305/