Jリーグ再開メド立たず、再開しても課題山積
産経新聞 2011年3月19日21時33分配信
東日本大震災で多くのクラブやスタジアムが被災したサッカー・Jリーグが、公式戦再開の
糸口をつかめないでいる。今月中の公式戦延期を決定したが、4月上旬からの再開も
困難との見解が大勢を占める。再開時期が遅れるほどその後の日程消化も難しくなる
ため、大幅な大会形式の変更を含めた異例のリーグ運営を余儀なくされそうだ。
Jリーグの大東和美チェアマンは「1日も早くリーグを再開したい」としながら、再開への
必須条件として「電力や交通といったインフラが通常レベルに戻り、再開後の日程で
各クラブの公平性が保たれること」を挙げている。
現状ではかなり厳しい条件だ。電力やガソリン不足は深刻で、スタジアムが損傷した
J1の仙台、鹿島、大宮、J2の水戸、栃木はホームゲーム開催が困難。鹿島の
井畑滋社長は「自治体や施工業者の安全確認に時間がかかる。周辺インフラも
回復していない」と被災地の状況を訴える。
Jリーグも再開に向けて知恵を絞っている。「スタジアムの収容人数はJ1が1万5千人以上、
J2が1万人以上」、「ホームゲームの80%以上をホームスタジアムで行う」、「同一大会で
アウェーゲームが3試合以上連続しない」といったリーグ規約を今季に限って柔軟に適用する
方針を打ち出した。
Jリーグの中西大介事務局長は「収容人数の条件を満たせなくても試合開催を認めること
はできる。相互クラブの了解があれば、他のクラブのホームスタジアムや国立競技場の使用も
認める」と説明。ただ、「完全なホームアンドアウェーの確保は難しく、アウェーが3試合以上
続く場合もあり、公平性を担保するのは厳しい」と述べた。
クラブ側にも特別な思いがある。井畑社長は「代替スタジアムの使用は極力避けたいと
考えている。ホームスタジアムで復興に向けて努力している地元サポーターにサッカーを
みてもらうのが第一」と話す。地域密着を理念とするJリーグだけに当然の願いだろう。
Jリーグはリーグ戦の試合数を変更しない方針で、延期した試合をリーグ中断期間だった
7月を中心に組み込む考えだ。しかし、中西事務局長が「再開時期によっては、あれも
これも日程に組み込むというわけにはいかなくなる」と指摘するように、リーグ戦はもちろん
ナビスコ杯や天皇杯の大会運営に影響する可能性もある。課題山積のJリーグは22日に
J1、J2の臨時合同実行委員会を開いて対応を協議する予定だ。
▽産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/sports/news/110319/scr11031921340012-n1.htm