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原発から避難の患者18人死亡 医療設備不足と寒さ響く
2011年3月17日10時52分
福島第一原発周辺からの避難指示を受け、避難所に運ばれた患者らのうち計18人が、搬送中や搬送後に
死亡していたことがわかった。宮城県多賀城市の仙塩総合病院でも、17日朝までに高齢の入院患者計8人が
死亡した。避難所に医療施設がなかったり、長時間の移動と寒さによる衰弱が影響したりしたとの見方が出ている。
患者の受け入れ先の一つ、福島県立いわき光洋高校などによると、同県大熊町の双葉病院と介護老人保健施設
ドーヴィル双葉から寝たきりの人を含む患者・入所者128人が14日午後8時ごろ、バスで到着。その時点ですでに
2人が死亡していた。残りの人たちは車いすや担架で避難場所である体育館に移されたが、16日までに12人が
次々と亡くなった。
患者らは病院や施設を出発した後、検査のために同県南相馬市の保健所にいったん北上。その後、高速道路で
南下し、80キロ以上離れた同校に運ばれた。
患者らを受け入れるため、同校は体育館の床に畳を敷き、大型の暖房機6基を設置したが、毛布は不足していた。
医療設備もなく、医師は他の施設とかけもちのため常駐していない。校長は「医療行為ができないなか、職員で
精いっぱいできることをしたが、寝たきりの患者も多く難しかった」と話した。
原発周辺からの避難に伴う患者の死亡をめぐっては、双葉病院の入院患者55人が15日、自衛隊によって
搬送される途中、うち2人が死亡したことがすでに明らかになっている。福島県によると、このほかにもう1人が
同県伊達市の避難所に移動する際に死亡していたことが新たに判明した。県の担当者は「食事をうまくとれずに、
体力が低下したことが原因ではないか」との見方を示している。
陸上自衛隊などによると、これとは別に12日、福島県双葉町の県立双葉高校グラウンドから搬送された患者らの
うち1人が死亡した。陸自のヘリコプターで仙台市の霞目駐屯地に到着後、市内の病院に運ばれたが、死亡が確認
されたという。陸自の担当者は「死因など詳細については把握していない」としている。
▽ソース
http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY201103170134.html