昨年、大阪府や奈良県で実施された、今年度登録販売者試験の受験申請者の
うち延べ20人が受験に必要な実務経験証明を不適切に作成・申請し、両自治体
から受験願書を取り下げさせられていたことが分かった。
大阪府や奈良県などの薬務課によると、受験者の実務経験証明を発行していたのは、
配置薬販売業者の日本配薬(本社東京都)。大阪府が昨年9月に実施した、登録販売者
試験の受験申請者書類確認の過程で、同社が発行する実務経験証明書に疑義が発覚した。
同社への事情聴取を行ったところ、実務従事時間の内容に不自然な実態があったこと
などが判明。大阪府は願書取り下げ者のうち、既に奈良県の試験に、併願申請していた
受験者がいたため、奈良県に通報。大阪府は該当者13人(うち奈良県との併願5人)を
試験前に、また試験が終了していた奈良県は合格発表前に7人(うち試験合格者4人)の
受験者に、願書出願を取り下げさせた。
奈良県薬務課は、「日本配薬は従業員6人の規模にもかかわらず、従事者としての使用契約を
334人と交わしていた」とし、実務経験証明の管理監督は実際上、不可能な状況にあったと
指摘している。また、従業者の大半が、整骨院等の開業者組織である「全国柔整鍼灸協同組合(全柔協)」
(大阪市)の組合員で、大阪府や奈良県で受験申請を取り下げた延べ20人は、全員が全柔協組合員だったという。
>>2以降に続く 1/2
****2011年3月14日 (月) 薬事日報****
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http://toki.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1297855671/287 >>1の続き 2/2
◆全柔協、不正関与を否定
9日には、全柔協が受験申請者に対して、実務経験に必要な時間の水増しなどをアドバイスした
とされる一部報道を受けて、大阪市内で記者会見を開き、理事長の岸野雅方氏は、そうした事実
について否定した。
岸野氏によると、実務経験証明の根拠となる日報、月報などの書類は、組合員申請者の書類を
全柔協が取りまとめ、日本配薬に送付し、日本配薬側が確認し、実務経験証明書を発行する
という流れになっていた。
昨年9月以降、大阪府など各府県から書類不備を指摘された日本配薬が、全柔協に対し再度確認を要請。
同社はその段階では、「1カ月に1度も在庫管理をしていない例や、全柔協が実施した講習会の時間を
加算しているケースもあり、改善を求めた。その結果、14人が日本配薬を通じ、受験申請を取り下げる
形をとった」とし、実務経験の水増しなど、書類不正への関与を一切否定した。
岸野氏は、登録販売者試験について、「資格を取得するれば、鍼灸師、柔整師も薬の取り扱いが可能に
なるなど、業権拡大につながると考え、2009年7月から、登録販売者試験の受験を組合員に勧めてきた」
と説明。結果、10年度の登録販売者試験では368人が受験申請(受験した者は256人)し、207人が
合格したという。また、全柔協として1月19日に厚生労働省医薬食品局総務課を訪れ、過去の取り組みや、
組合員に適正な指導を行ってきたことなどを説明しているとした。
一連の実務経験不備に関しては、奈良県も9日付で、日本配薬が発行した実務証明書による
受験出願者は38人(うち願書取り下げ者は7人)だったことを発表。
取り下げた7人は、▽1軒で7〜8時間の滞在▽業務日報の顧客訪問時間を大幅修正
▽月80時間未満の勤務月があった−−など不備があった。
◆日本配薬、全柔協との関係打切る
奈良県は、昨年11月に日本配薬代表者を事情聴取し、同社宛に警告書(管理不備と偽造証明)を発出した。
虚偽証明に至った経緯として日本配薬は、「従業員6人の会社が、多数の従事者について、簡易な
書面確認で証明書を発行したため、不適切な証明が生じた」と説明したという。
また、日本配薬代表の奥田康夫氏は、本紙の取材に対し、同社として47都道府県で配置販売業の
許可申請をしていることから、全国の全柔協組合員と使用関係を結び、配置員の証明を行っていたという。
一方、結果的に偽造証明発行に至ったことについては、「管理者として指導監督できなかった責任はあり、
弁解の余地はない」と語った。既に、今年1月までに関東や関西の一部地域を除き、配置販売業の
廃止届けを提出。全柔協との関係も打ち切っている。
全柔協の岸野氏は、「この2年間は薬剤師の卒業がないので、規制緩和で薬もコンビニで販売できる
ようになる。約15万軒のコンビニの人数分の登録販売者を確保するまで試験は簡単。だからチャンス」と、
組合員向けに説明していたという。一方、実務経験証明のあり方について、日本配薬1社で約400人分を
対応させようとしたことについて、「無理があったとは思わない」との見解も示している。
以上