「爆発音」に各国緊張 IAEA、即応態勢整える
朝日新聞 2011年3月12日22時42分配信
「日本の震災、原発で『爆発音』」(英BBCのサイト)――。
東日本大震災による福島第一原発1号機のトラブルは、大地震による原発の重大事故と
いう世界初の事態だけに、世界各国のメディアも大きく報じた。北東アジアでは、自国民を
安心させようと、独自の放射能監視体制を築く国が相次いでいる。
国際原子力機関(IAEA、本部ウィーン)は12日までに、日本政府から福島第一原発の
状況について「燃料の溶融が進んでいる可能性が高い」との報告を受けていた。
12日に原発で爆発音がしたとの情報も日本側から第一報を受けているが、詳細については
「確認中」としている。
IAEAは震災発生当日の11日には「日本側から要請があればいかなる技術的支援もする
用意がある」と発表した。天野之弥(ゆきや)事務局長を中心に情報収集や分析を進めており、
日本側の要請があれば専門家派遣などで即時対応できるよう態勢を整えつつある。
ただし、刻一刻と事態が変化している現状では「IAEAとしてもできることが限られている」
(関係筋)のが実情だ。日本の対応を見守りながら、日本側から得た情報を加盟関係国と
共有することに全力を注いでいるという。
韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は12日朝、アラブ首長国連邦(UAE)への公式訪問
への出発時、空港で、東日本大震災に伴う原発トラブルについて「放射能が流出・拡散しても、
太平洋側に流れるため韓国には被害が及ばない」との報告を受けた。大統領は、韓国への
影響の綿密な分析と対策を指示した。韓国の聯合ニュースが伝えた。
韓国原子力安全技術院は11日から日本からの放射能流出を監視するチームを編成した。
韓国国内に70カ所に設置された測定器データを分析しているが、日本に最も近い鬱陵島
でも平常時と同じレベルの数値だという。
中国環境保護省の張力軍次官は12日、全国人民代表大会にあわせた記者会見で、
日本の福島第一原発が震災による被害で放射能漏れを起こす懸念が出ていることを受け、
中国沿岸部の原発周辺に設置している監視装置で調べたが、「現段階で中国に影響は
出ていない」と述べた。日中当局で連絡を取り合っており「引き続き、事態を見守っていく」
と話した。
中国自身が急増するエネルギー需要を満たすため原発を大増設する計画については「日本の
教訓を適切に生かす。しかし、原発を発展させる決意と予定は変わらない」と強調した。
旧ソ連時代のチェルノブイリ原発(現在のウクライナ)事故の記憶が国民に根強く残っている
ロシアでも、連邦消費者権利保護・福祉監督庁が11日夜、ロシア極東地域の住民が
受ける放射能レベルについて監視を強化すると表明した。
▽朝日新聞
http://www.asahi.com/international/update/0312/TKY201103120547.html http://www.asahi.com/international/update/0312/TKY201103120547_01.html