米ウィスコンシン州を中心とした労働組合員による団体交渉権の保持をめぐる抗議活動を受け、数千人の人々が26日
労組への支持を表明するため全米各州都で抗議集会を開催した。
活動の中心となったのはインターネットを中心に政治活動を行う市民団体「ムーブオン・ドット・オルグ」とその他
の民主党支持派の45団体。ウィスコンシン州マディソンとオハイオ州コロンバスで最近発生している労組支援による
抗議活動の勢いを借りて、全米のリベラル運動を活気付けようとの狙いもある。
26日、1週間前に6万8000人が集結(マディソン警察調べ)したマディソンの議事堂周辺には再び数千人の人々が集まった。
議事堂内ではドラムやホーンの音が鳴り響き、「これが民主主義だ!」とのスローガンが繰り返し叫ばれた。
だが、共和党議員らは、こうした抗議運動が有権者の広い支持を得るとは考えられないとしている。ウィスコンシン州出身
の共和党戦略担当、ロン・ボンジャン氏は、マディソンの「お祭り騒ぎのような」雰囲気はウィスコンシン州だけでなく、
他の州の多くの人々をうんざりさせている、と述べた。また主流有権者がウィスコンシンやオハイオ、インディアナの各州
で争点となっている「中核的な労組問題」に共感するとは思えないとした。
一方、当局は抗議デモ参加者に対して、27日午後4時までにマディソンの議事堂から退去するよう通達した。
2週間近くにわたるマディソンでのいざこざは、共和党のスコット・ウォーカー知事が17万人の州職員の団体交渉権を制限
する予算案を提示し、それに労組が抗議したことに端を発している。ウォーカー知事は、現行予算の赤字分1億3700万ドル
と向こう2年間の予算の不足分36億ドルを補うために必要な措置だとしている。そうすることで、各地方政府は人員削減に
踏み切ることなく人権費を削減できるため、雇用保護につながるとしている。
労組は既に全米で年金と医療保険料の負担比率を現行のほぼ0%と平均6%から、それぞれ5.8%と12.6%に引き上げること
には同意している。
ウィスコンシン州議会は同予算案を先週可決したが、上院議会では民主党議員が隣のイリノイ州へ逃げ込み、可決に必要な
定数を割ったことで依然凍結されている。
全米各州都で行われた抗議集会の規模は、バーモント州モントピーリアやケンタッキー州フランクフォートなどの数百人
程度のものから、ペンシルベニア州ハリスバーグの2000人に及ぶものまでさまざまだった。また、ニューヨークやシカゴ、
デンバー、ボストンといった主要都市ではさらに大規模な集会が行われた。
シカゴでは、ディック・ダービン上院議員(民主、イリノイ州)が、州政府オフィスビル前に集まった約2000人の人々に
対して演説を行った。
また、デンバーやニューヨーク州マンハッタン南端部では約3000人が集結した。一部はウィスコンシン州を象徴する黄色
いチーズ型の帽子をかぶり、「われわれはウィスコンシン州の味方だ」と書かれたボードを掲げた。
サンフランシスコでは、ウィスコンシン州の公務員支持を表明する人々約1000人が市庁舎周辺に集まった。「民衆の力」
と書かれたボードを掲げる人々も一部みられた。
▽ウォール・ストリート・ジャーナル(2011年 2月 28日 12:17 JST )
http://jp.wsj.com/US/Economy/node_188907