人口約1400万、国民の8割が農業に従事するアフリカ東南部にある小国、マラウイ共和国。
そのマラウイで、公共の場で屁をこいたら罰則という“オナラ禁止法”が成立の見込みというニュースが流れたのは2月初旬のこと。
ただ、その後、この法律がどうなったか、さっぱり伝わってこない。いったい、どうなったのか?
そもそも、この“オナラ禁止法”の狙いは空気汚染禁止。
マラウイではタイヤやゴムなどの野焼きが多く、これを防ぐために準備された法律だったのである。
ところが、2月3日に同国のチャポンダ法相が地元のラジオ番組に出演し、「オナラも空気汚染の原因。国民にむやみにオナラを
しない責任と規律を求める!」と、ぶち上げてしまった。
これに国民は大困惑。「オナラが空気を汚染するわけねーだろ!」「誰が屁をこいたか、どうやって調べるんだ?」と大ブーイング!!
その様子が通信社を通じて、瞬く間に世界中に配信されたってわけ。
それにしても、法律で縛らなければいけないほどマラウイの人々の屁は強烈なのか?
マラウイを訪れたことがあるノンフィクション作家の中村安希氏は言う。
「人も気候も穏やかでいい所なんですけど、ニオイだけは別。オナラのニオイかそれとも体臭なのかはわかりませんが、現地には独特の
ニオイがありました(苦笑)。どんなニオイかって? イメージとしては鹿のフンみたいな、草食系動物の臭さとでもいいましょうか。
空気の出入りがあまりないバスの車内なんて、息ができないくらいニオってました。おかげで、窓からずっと顔を出すハメになって、
首が痛くなったほどです(涙目)」
だからって規制するほどなの!? 岡野内科診療所の岡野喜久夫院長があきれる。
「医学的に申し上げますと、オナラを我慢しすぎると腹痛の原因になります。しかも我慢によるストレスで腸内の蠕動運動に異常をきたし、
よりオナラが出てしまうという負のスパイラルに陥ることすらあります。そうしたら本末転倒ですよね。そもそもオナラは生理現象。
それを法律で縛るだなんて、おかしな話です」
なるほど、マラウイの人々が拳を突き上げ、抗議に立ち上がったのも当然だ。
すると、エジプト、チュニジアでの民主革命の二の舞い、すなわち“オナラ革命”を恐れたのか、渦中のチャポンダ法相は
「オナラは空気汚染に当たらない」と、前言を撤回することに(笑)。
「実際に条文を作ったり、国会で審議されたわけでもないですから、この撤回発言で事実上、『オナラ法案』は廃案でしょう」
(在マラウイ日本大使館の松本洋参事官)
やっぱり、こんな法律が成立するはずないか――。そう苦笑していたら、事情通からこんなつぶやきが。
「わかりませんよ。マラウイはとにかくエキセントリックな国。男の長髪、女のズボン、ミニスカートの着用まで禁じるなど、世界の常識では
測れないところがある。そうそう、昨年7月には突如、国旗のデザインの変更もしています。通常、クーデターもなく平時に国旗を変えるなんて
考えられないこと。そんなお国柄だけに、『オナラ禁止法』がいつ息を吹き返してもおかしくないですね」
(ユーラシア21研究所・吹浦忠正理事長)
珍法成立への屁種、いや火種はまだまだくすぶっているのかも?
▼週プレNEWS [2011年02月26日]
http://wpb.shueisha.co.jp/2011/02/26/2764/