プロ野球のキャンプも第2クールに突入、各チームの情報が詳細に報じられるなか、
「ベテラン三浦、100球を投げ込む」くらいしか伝わってこないのが沖縄・宜野湾で
キャンプ中の横浜ベイスターズだ。
昨シーズンは身売り騒動が勃発。親会社の身売り、ホーム移転など二転三転の末、
結局元サヤに収まった。そんな話があがるのも、プロ野球史上初の3年連続90敗以上で
最下位という不名誉な記録を打ち立ててしまったチームの弱さ、そして人気低迷にある。
今シーズンも、森本稀哲の補強、大砲・筒香嘉智の成長などの明るい話題はあるものの、
根本的な改革とまではいかなかったが、それでも「勝たなければならない。それも
『CS出場』じゃない。今年は優勝しか狙いませんよ」と熱く語るのは、加持隆雄球団
社長である。
加持氏は、広告会社の電通、テレビ制作会社代表取締役を経て、2009年オフ、大ファン
であったベイスターズの球団社長に就任。
昨年の身売り騒動のときも、断固として本拠地移転を許さない姿勢を貫き、ファンの
厚い信頼を得た。
「昨年の最終戦後、初めてベンチ裏で選手に檄を飛ばしたんです。『俺は野球のことは
素人だが、社長になって一年、高校野球から社会人、そして君たちの試合もすべて見せて
もらった。一番の戦闘集団であるべきおまえらが、一番の腑抜けじゃねえか。悔しくない
のか!』と、本気で怒鳴ってね」
まるでテレビドラマ『スクール☆ウォーズ』の世界だが、選手たちもドラマさながらに
目を真っ赤にし、悔しさを滲ませていたという。
以来、選手たちから「社長、なんでも言ってください。今年は絶対にやります」という
声が頻繁に出るようになった。
「これで変わらなかったら、本当にダメですから。僕はチームを変えるためならこの命を
かけてもいい。もし負けたら、ベイブリッジから飛び降りる覚悟ですよ」
実際のところ、横浜国際港の人に「船が航行できなくなって迷惑だからやめてくれ」と
言われたらしいが、それほど強い意志でやるということ。ベイスターズの11年シーズンに
注目したい。
▼週プレNEWS [2011年02月09日]
http://wpb.shueisha.co.jp/2011/02/09/2560/