和歌山県南部の小中学校や保育所が、梅干しの製造過程でできる「梅酢」を
使ったうがいを取り入れている。
最近の研究では、梅にはインフルエンザウイルスの増殖を抑える作用がある
ことも分かってきた。
元気に冬を過ごそうと「酸っぱい味のうがい」に期待が集まっている。
梅酢は梅干しの製造過程で出る塩を含んだ液体。
「うがいに使うと風邪をひかない」と言われ、農家の中には昔からうがいに
使っている人もいるという。
県立医大の宇都宮洋才准教授らによる最近の研究では、梅からインフルエン
ザウイルスの増殖を抑える化合物が見つかっている。
JA紀南と紀州田辺うめ振興協議会は、希望する学校や保育所にうがい用の
梅酢を無償で提供している。
梅の効能だけとは断定できないが、梅酢うがいをした学校は、していない
学校に比べて学級閉鎖の割合が少なかったというデータもある。
JA紀南の調べによると、2009年度は管内の88校のうち21校に梅酢を提供。
そのうちインフルエンザによる学級閉鎖があった学校は4校だった。
一方で、梅酢を提供していないのは67校で、うち20校でインフルエンザによる
学級閉鎖があったという。
本年度は1月までに、田辺市内の5校、白浜町内の5校、すさみ町内の2校の
小学校から希望があり、JA紀南が梅酢を提供した。
小中学校に加えて、保育所や幼稚園にも希望を募り、これまでに同市内の16の
市立保育所と1認可保育所にも提供した。
同市新庄町のわんぱく保育所は毎朝のマラソンの後など、1日3回梅酢を水で
薄めてうがいをしている。
子どもたちは「しょっぱいけど、さっぱりして気持ちいい」と喜んでいる。
小西真弓園長(56)は「『梅干しの味がする』と言って子どもたちは抵抗なく
うがいしているし、みな元気」と感想を話す。
JA紀南は農家から集めた梅酢の沈殿物を除去したり、ろ過したりしてうがい
にも使える梅酢にしている。
専用ポンプがあり、一押し4ミリリットルを水で80ミリリットルに薄めて利用
する。
塩分濃度は原液で約20%だが、薄めてうがいに使う時には約1%になるという。
JA紀南は「梅の活用法を知ってもらうとともに、子どもたちに地元の特産を
周知する機会につながれば」と話している。
JA紀南管内で、梅酢うがいを希望する小中学校や幼稚園、保育所は、田辺市
梅振興室(0739・26・9959)へ。
▼AGARA紀伊民報 [2011年02月09日更新]
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=205284 ▽写真=梅酢でうがいをする子どもたち(和歌山県田辺市新庄町のわんぱく保育所で)
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/newsphoto/2052841.jpg