中学生が一人で企画を思いつき、インターネットを駆使して大学生や企業とつながった。バレンタインデーに合わせて
大手スーパーでチョコレートを販売するイベントを、東京都の中学3年生の森川絢瑛(あやえ)さん(15)が11日に催す。
ただのチョコではない。途上国を支援する「フェアトレード」のチョコだ。
「もともと社会の役に立ちたいっていう気持ちが強い」と森川さん。1カ月前、フェアトレードの制度を広く知ってもらいたい
と考えていて、バレンタインに合わせたイベントを思いついたという。
初めは外国のチョコを自分で輸入して売ろうと試みた。自宅がある世田谷区の役所に相談すると、そもそも中学生が
輸入・販売をするのは難しいと言われた、という。
あきらめきれずにインターネットで調べると、中央大学商学部の日高克平教授のゼミが、大手スーパーのイオンに持ちかけ、
昨年11月にフェアトレードのチョコ販売を始めたことを知った。
「中央大学の方、いませんか」。森川さんはツイッターで呼びかけた。紹介に紹介を重ね、ほどなく日高ゼミの学生にたどり着く。
そこからイオンでフェアトレード商品を手がけた有本幸泰さんを紹介してもらい、イオンでの販売イベントを持ちかけた。
「中学生と聞いて最初はびっくりしました」と有本さん。企画を快諾し、11日午前10時から神奈川県大和市のジャスコ大和鶴間店
でPRイベントを開くことになった。場所と商品はイオンが用意するが、当日の販売と販売スタッフ集めは森川さんの役割だ。
有本さんは「うちの商品ではあるけれど、彼女のように若い世代がフェアトレードを意識していることを広く知ってもらいたい。それと、
大人として、彼女がやりたいと言うことを形にしてあげたかった。動けば願いがかなうことがあるって、自信をもってくれたらうれしい」と語る。
2日、森川さんはツイッターなどで募った販売スタッフ向けに、フェアトレードを学ぶ研修会を都内で開いた。「お客さんに『フェアト
レードって何?』って聞かれたらちゃんと答えられないといけないから。単に企業の商品を売ることが目的ではないので」。
会場には首都圏の女子中高生16人が集まり、日高ゼミの学生が講師を務めた。
イベントを企画するのは初めてという森川さん。「自分で言い出した割に、今はめっちゃ緊張してます」と苦笑した。
〈フェアトレード〉 途上国の生産者が自立した生活を守れるような適正な価格で取引をすること。途上国で作られた安い産品は、
児童労働や農薬の大量使用などで生産コストを下げている場合がある。国際フェアトレード基準を守っている製品には「国際フェア
トレードラベル機構」の認定ラベルがつけられている。
▽アサヒ・コム
http://www.asahi.com/food/news/TKY201102090168.html ▽参考画像
フェアトレードのチョコレートを手に、イベントスタッフに説明する森川絢瑛さん(左)
http://www.asahicom.jp/food/news/images/TKY201102090169.jpg