高崎市で創造学園大学などを運営する学校法人堀越学園(王豊理事長)で、けがや病気になった
教職員や扶養家族の医療費を補填(ほてん)する日本私立学校振興・共済事業団の共済事業の
給付金が教職員らに渡っていないケースが相次いでいることが7日、関係者への取材でわかった。
給付金は、事業団からいったん学校側に払い込まれる仕組みになっており、過去5年間の分が支払わ
れていない教員もいた。
不払いが明らかになったのは、1か月間の医療費自己負担分のうち、年齢や所得などの一定の基準に
応じた限度額を超えた分が払い戻される「高額療養費」や、高額療養費を除いた分で1か月2万1000円
以上だと、超えた分が払い戻される「一部負担金払戻金」など。
高額療養費や一部負担金払戻金などが不払いとなっている常勤教員は、1月に同事業団に問い合わせ
たところ、2005年受診分2回、10年受診分1回の計3回分の給付金計約17万円がすでに学園に
支払われていたことがわかった。この教員は「5年以上勤めたが、1度も支払われていない。私のように複数の
学校勤務経験があれば気付くが、知らない先生も多いはず」と話す。
別の元教員は、在職中の昨年8月に内臓疾患で1か月間入院、その後退職した。12月に同事業団に
問い合わせたところ、同事業団から学園に11月5日付で給付金が下りていることが判明。元教員は
学園に複数回、問い合わせたが支払われなかった。業を煮やした元教員が1月下旬に「学園担当者を
刑事告訴する」と内容証明郵便を送るなど強硬姿勢に転ずると、間もなく28万5000円が支払われた。
元教員は「精神的ダメージが大きい。頭に来て仕方がない」と怒りを隠さない。
学園事務局は取材に対し、「高額療養費の支払いは全部終わっている」と話している。
堀越学園を巡っては、昨年7月、学生が支払った寮の家賃を滞納したために、学生が退去させられたほか、
度重なる給与の遅配、健康診断代の未払いで訴えられるなど金銭トラブルが続出。一連の混乱の責任を
とって、今年1月に堀越哲二前理事長が辞任した。
▽読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/gunma/news/20110207-OYT8T01209.htm