京都市の市長、副市長ら課長級以上の幹部が任意で加入する親睦団体「みやこ互助会」(会員・約千人)が
7日までに、管理職個人に対する住民訴訟への自衛手段として裁判費用の立て替えや訴訟で請求された
損害賠償金を会員の会費で肩代わりする独自の共済事業を、本年度内に廃止する方針を固めた。
市長の賠償責任を問う住民訴訟が増えて掛け金が市長支援に使われるケースが多く、庁内で批判もあった。
各部局の職員厚生会が4月から民間の保険制度を導入する。
みやこ互助会は、職員個人を相手取った住民訴訟が増加する中、「職員個人では負担しきれない」と1998年に発足し
共済事業を始めた。
加入率は現在90%を超える。毎月の掛け金として市長・副市長1万円、局長5千円、部長3千円、課長2千円を
会費として納めており、収入は年間約3千万円。内部に審査会を設け、個別の訴訟内容に応じて損害賠償への
給付や貸し付けの妥当性、金額を判断していた。
これまでに同会が裁判費用や損害賠償を肩代わりした事案は十数件で総額約2億円に上る。近年は市長に対し
損害賠償を求める訴訟が続き、任意団体であるにもかかわらず「なぜ市長を助けるために掛け金を払わなければ
いけないのか」との不満も出ていた。
このため、各部局の職員厚生会が全国の自治体で広まっている民間の賠償責任保険を導入するのに合わせ、
共済事業の廃止を決めた。4月以降は会費を徴収せず、会費の余剰金約2億円は係争中の訴訟に限って対応する
方針という。
みやこ互助会事務局を担う市職員は「人事異動などでいつ自分が訴えられる立場になるか分からないリスクを
回避するために管理職が自分の意思で入っていた。保険料負担が少ない民間の保険制度が普及し、共済事業は
一定の役割を終えた」としている。
【 2011年02月07日 15時25分 】
ソース:京都新聞
http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20110207000074